プジョー 508にプラグインハイブリッドモデル(PHEV)の「508GT HYBRID」が追加された。サステナブルな走りの楽しさを持つこのプジョーのフラッグシップモデルは、電動車を当たり前に選ぶ時代を提案し、Dセグメントをリードする高みに到達した(Motor Magazine2021年10月号より)

前輪駆動ベースのプラグインハイブリッド

どんな条件でも満遍なく好感触を示すオールラウンダーな3008GT HYBRID4に比べると、508GT HYBRIDの個性はより明確なフォーカスを結んでいる。それを端的に説明すれば、グレード名のGTが表しているとおり、どこまでも力強く突き進んでいくグランドツアラーのキャラクターといえるだろう。

そのハイブリッドシステムだが、508の場合は3008と違って前輪駆動ベースのプラグインハイブリッドとなる。このため110psと320Nmを発生する電気モーター一基をフロントに搭載。このモーターは、e-EAT8と呼ばれるプラグインハイブリッド専用ATを介し、180ps/300Nmの1.6Lガソリンターボエンジンと連結される。システム全体の最高出力は225ps、最大トルクは360Nm(フランス本社公表値)で、容量11.8kWhのバッテリーをフル充電すれば、最長(WLTCモード)のEV走行が可能という。

ところで508GT HYBRIDの登場に伴い、プジョーは508のラインナップを刷新し、プラグインハイブリッド、ガソリン、ディーゼルの全モデルをGTの1グレードに統一した。これに伴ってシートも高品質なナッパレザーを全モデルに採用。しかも、同じ措置はセダンだけでなく、SWと呼ばれるステーションワゴンにも適用される。

プジョーは、さまざまなドライブトレーンの中から自分にあったものを顧客が選択できる「パワー・オブ・チョイス」を推進中だが、ドライブトレーンにかかわらず同一グレードを選択できるようにした今回の見直しにより、彼らのコンセプトがより純粋な形で表現できると捉えているようだ。

画像: 快適なだけでなく、スポーティな走りを存分に楽しめる。

快適なだけでなく、スポーティな走りを存分に楽しめる。

エンジン音や振動が少なくしなやかな足まわりで快適

今回試乗したのはファストバックの508GT HYBRID。ボディの前後を貫くショルダーラインが低い508のスタイリングは、いつ見てもスポーティ。リアウインドウが強く傾斜したクーペライクなシルエットが、そうした印象をいっそう強めている。

まずは一般道をハイブリッドモードで走り始めると、スポーティモデルらしいズシッとした感触が足まわりから伝わってくる。508のモード切り替えはドライブトレーンと足まわりが連動するため、ハイブリッドを選ぶとダンパーの減衰率はコンフォートとスポーツの中間に設定される。ズシッとした乗り心地に感じられたのは、その影響もあったようだ。

もっとも、足まわりの動き出しはなかなかソフトで、ボディもしっかりとしているため、イヤな振動は伝わってこない。しかもコンフォートモードに切り替えれば乗り心地はしっとりしたものとなり、快適性はさらに向上したので、ひとまずこのまま走ることにした。

画像: 180psの1.6Lガソリンターボエンジンに110psの電動モーターを搭載し、システムトータル出力225ps/360Nmを発生。

180psの1.6Lガソリンターボエンジンに110psの電動モーターを搭載し、システムトータル出力225ps/360Nmを発生。

高速道路に入ってしばらく経ったころ、ハッと気付くことがあった。当初はバッテリーに蓄えていた電力で走行していたのだが、いつの間にかこれを使い切って、エンジンが始動していたのだ。つまり、エンジンの発するノイズや振動がまったく気にならないほど小さかったのである。プラグインハイブリッドモデルはエンジンのオン/オフを気付かせないよう、静粛性や制振性を高めた車種が多いのは事実だが、508GT HYBRIDは中でもエンジン音や振動がとくに小さいと思う。

そしてこのモデルがワインディングロードで見せた走りはさらに驚きに満ちたものだった。スポーツモードを選ぶと、コーナリングでも恐ろしくスタビリティが高く、まるで不安を感じない。そして積極的なコーナリング中にジワリとアクセルペダルを戻すと、これ以上ないくらい心地いい速さでリア荷重からフロント荷重に移行し、ハンドリング特性もアンダー傾向からニュートラル傾向へと変化する。

ただし、こうした一連の動きがすべて見事にコントロールされているので、ドライバーは思いのままに走行ラインを調整できる。また、ハンドルから伝わるロードインフォメーションの量と質も申し分ない。

This article is a sponsored article by
''.