ポルシェがまたまた、魅力的な911のバリエーションを追加した。すでに定番となっている「GTS」である。ポルシェ 911カレラ GTSクーペのコンセプトはGT3のような尖がった高性能ではなく、911が生来持っている快適性を残しながらスポーツドライブを楽しむこと。その仕上がりは、「優しい」。(Motor Magazine 2021年11月号より)

限られたシーンではなく、毎日楽しみたくなる高性能

テストでは、「ターボ」から移植されたスポーツシャシ(10mmローダウン)を装備する後輪駆動のGTSクーペから、スタンダードなシャシを搭載したタルガ4 GTSまで試すことができた。これまでの911シリーズの試乗では、2種類のシャシを直接比較をする機会がなかっただけに、乗り換え直後のフィーリングの違いが新鮮だ。ちなみに日常使用が多いオーナーにはやはり、スタンダードシャシをお勧めする。

さらに一般公道だけでなく、イタリアのヴェローナにあるポルシェエクスペリエンスセンターでクローズドサーキットでの挙動を体験することができたことも、今回のテストドライブの収穫と言えるだろう。そこではとくに後輪ステアによる安定したロードホールディング性、ハイスピードでの荷重移動時におけるトラクションの確かさ、そして見事なまでのブレーキ性能などを確認することができた。

同じようなシチュエーションでも、高回転を維持させながら限界を極めようとしていたGT3でのテストの時とは違って、リラックスしている自分自身に頬が緩む。 

新たに登場したGTSは、単なる伝統を引き継いだマーケティングの産物ではなかった。ターボやGT3のような刺激的演出はやや控えめだが、季節を問わず乗りこなすことができる類まれな日常性と、時にはクローズドサーキット(理想はもちろんニュルブルクリンクだが)でスポーツ走行でも楽しもうかと考えるオーナーにもフィットするスペックは、「GTS」としてのコンセプトに見事に照準が合っている。

後輪駆動、4WDあるいはクーペ、カブリオレさらにタルガと、使用目的やライフスタイルに合わせたパワートレーンやボディバリエーションが用意されていることもまた、そうした多様な「ユーザーの願い」に応えるものなのだろう。

日本でもすでに受注予約が開始されているが、もちろんどれも限定生産販売ではない。お財布のゆとりと自分自身のライフスタイルを勘案しながら、思い切り楽しく選択に悩む時間はたっぷりある。(文:グレッグ・ケーブル<キムラ・オフィス>/写真:ポルシェAG)

画像: タルガ4 GTS。「ブラック」の意匠がGTSの特徴。タルガはロールバーまでダークな仕上げとなるので、GTSの中でもっとも目立つ存在である。

タルガ4 GTS。「ブラック」の意匠がGTSの特徴。タルガはロールバーまでダークな仕上げとなるので、GTSの中でもっとも目立つ存在である。

ポルシェ 911カレラ GTSクーペ主要諸元

●全長×全幅×全高:4533×1852×1301mm
●ホイールベース:2450mm
●車両重量:1620kg(EU準拠)
●エンジン:対6DOHCツインターボ
●総排気量:2981cc
●最高出力:353kW(480ps)/6500rpm
●最大トルク:570Nm/2300-5000rpm
●トランスミッション:8速DCT(PDK)
●駆動方式: RR
●燃料・タンク容量:プレミアム・64L
●WLTPモード燃費:8.8-9.3km/L(EU準拠)
●タイヤサイズ:前245/35ZR20、後305/30ZR21

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