2代目 ホンダ NSXの最終にして究極のモデル、「タイプS」のステアリングをテストコースでの試乗だが早くも握ることができた。そのパフォーマンスを存分に味わった大谷レポーターは、何を思ったのだろうか。

150km/hオーバーでも安心して修正舵があてられる

画像: 赤いエンジンカバーはタイプS専用。カーボンファイバーのカバーはオプション。

赤いエンジンカバーはタイプS専用。カーボンファイバーのカバーはオプション。

私は一度ピットに戻って気持ちを落ち着かせると、再びコースへと躍り出た。すると、コースの習熟が進んだこととあいまって、徐々にタイプSの限界を引き出せるようになっていった。

最初にタイプSが発するシグナルは、軽いスキール音だ。そこからさらに攻め込むと、タイプSのテールはじわりと流れ始める。しかし、そこに至るまでの過程が斬新的なため、ドライバーは慌てることなく、余裕をもってカウンターステアをあてられる。しかも、一連の動作はすべて流れるように自然でわかりやすい。150km/hを越える速度域でも安心して修正舵をあてられるミッドシップスポーツカーは、私にとってNSXが初めてだ。

こうした地を這うような挙動は、減衰力の可変幅を拡大した電子制御式ダンパーやダウンフォースの量を一段と増したエアロダイナミクスの効果に加え、浮き上がろうとするボディを3モーター式SH-AWDの駆動力コントロールによって抑え込むことで実現したという。つまりSH-AWDはヨーコントロールだけでなく、姿勢制御にも有効なのだ。

しかも、これだけ様々な電子制御が搭載されているのに、限界領域で走行するドライバーに一切その存在を感づかせないところに、NSXの、そしてSH-AWDの真価はある。+22psを得た3.5LのV6ターボエンジンが奏でるサウンドは高音成分を強調した抜けのいい音色。中間加速が一段と鋭くなったのは、フロントモーターをパワーアップするとともにギア比をローレシオ化した恩恵である。

試乗後、私の心に浮かび上がった思いはただひとつ。「これほどの名作を、なぜホンダは捨ててしまうのか?」いまはただ、NSXのDNAを受け継いだ新しいスポーツモデルが1日も早く登場するのを願うばかりだ。(文:大谷達也/写真:本田技研工業)

画像: 抜けのいいサウンドを奏でてテストコースを走り抜けるタイプS。

抜けのいいサウンドを奏でてテストコースを走り抜けるタイプS。

■ホンダ NSX タイプS 主要諸元(一部は編集部推定値)

●全長×全幅×全高:4530×1940×1215mm
●ホイールベース:2630mm
●車両重量:未発表
●エンジン:75度V6 DOHCツインターボ+3モーター
●総排気量:3492cc
●最高出力:389kW<529ps>/6500-6850rpm
●最大トルク:600Nm<61.2kgm>/2300-6000rpm
●モーター最高出力:27kW×2+35kW
●モーター最大トルク:73Nm×2+148Nm
●システム最高出力:610ps
●システム最大トルク:667Nm
●トランスミッション:9速DCT
●駆動方式:4WD(エンジンは縦置きミッドシップ)
●燃料・タンク容量:プレミアム・60L
●タイヤサイズ:前245/35ZR19、後305/30ZR20
●車両価格(税込):2794万円

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