2009年、プジョー308シリーズに電動メタルトップを持つ4シータークーぺカブリオレ「308CC」が追加された。大成功を収めた「307CC」の後継となる308CCは、さらなる快適性とプレミアム感、そして楽しさが期待されていたが、はたしてどんなモデルだったのか。ここでは軽井沢で行われた国内試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2009年7月号より)

シリーズ中もっともプジョーらしい「猫足」を持つ

新緑まぶしい軽井沢での試乗会。このままカブリオレ状態で走り出す。

フロントガラスの傾斜角がきつく、Aピラーの付け根がかなり遠くにあるので、カブリオレモデル特有のピラーの太さはまったく気にならない。他の308シリーズ同様、ドアミラーの先にある三角ガラスも、死角を少なくするのに一役買っている。

特筆すべきは、風の巻き込みの少なさだ。標準で着脱式のウインドディフレクターも用意するが、それを装着せず高速道路を走行しても、風はさわさわと髪の先を撫でる程度。シチュエーションを選ばず、髪の乱れを気にすることなくどこでもオープンエアを楽めるのは、とくに女性ドライバーにとって歓迎すべき長所だろう。

フロントガラスがドライバーの頭上近くまで伸びているため巻き込みが少なく、高速走行時にもパッセンジャーと普通の声音量で会話できるのだが、反面、通常の運転姿勢だと、その視界のなかに青空はなく、意識的に視線を上に移さないと、流れる景色を感じることはできない。

搭載されるトランスミッションは例の4速ATとなるが、シフトショックなどは今や皆無。ワインディングでは、あと何速か欲しい衝動にかられるが、街乗りや高速巡航など日常シーンにおいては不満は少ない。

308GTiと同レベルに強化されたという足まわりは、決して硬すぎることはない。高い回頭性でタイトコーナーも難なくクリア。ぺっとりと路面を掴んで粘るその感覚は、308シエロなど通常モデルよりもむしろコンフォート性において上回っている。プジョーらしい猫足という意味では、308シリーズの中ではこのCCが一番かもしれない。

メタルトップを閉めクーペ状態にすると、ほとんどハッチバックモデルと変わらない静粛性を確保している。フロントガラスにラミネート吸音ガラスを採用するなど、CC独自の防音処理を施し、気密性も高い。

クーペのスポーツ性とカブリオレの開放感、そしてプジョーらしい走り味。308CCは、何も我慢することなく、理屈抜きで楽しめる1台に仕上がっている。(文:Motor Magazine編集部/写真:原田 淳)

画像: インパネは308シリーズと共通だが、ステアリングホイールは308CC専用デザインとなる。

インパネは308シリーズと共通だが、ステアリングホイールは308CC専用デザインとなる。

プジョー 308CC グリフ 主要諸元

●全長×全幅×全高:4455×1820×1430mm
●ホイールベース:2610mm
●車両重量:1590kg
●エンジン:直4 DOHCターボ
●排気量:1598cc
●最高出力:103kW(140ps)/5800rpm
●最大トルク:240Nm/1400-3500rpm
●トランスミッション:4速AT
●駆動方式:FF
●10・15モード燃費:9.4km/L
●タイヤサイズ:225/45R17
●車両価格:445万円(2009年当時)

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