エンジンはトルクフル。「ネコ足」も健在!
試乗車の正式車名は「308SW ロードトリップ ブルーHDi」。ロードトリップはカタログモデルのアリュールをベースに2020年10月に発売された特別仕様車で、残念ながら既に販売は終了している。だが、走行性能に関わる部分は基本的にアリュールと変わらない。
さて、プジョーのディーゼルは学生時代に友人が中古で手に入れた504Dを乗りまわしたり、十数年前にワンメイクムック制作のため307SWやクーペ407のHDi(いずれも日本未導入)でフランスを旅したりと付き合いは古く、個人的には以前から興味を持っていた。
2016年から日本にも再導入されたプジョーのディーゼル車だが、この308SWは新世代の1.5L版を搭載。アドブルー(尿素水溶液)による選択還元触媒も採用して、もちろん日本の環境基準に適合している。エンジンをかけて外にいるとディーゼル特有のガラガラ音は聞こえるけれど、乗り込んで窓を閉めていれば室内ではほとんど気にならない。ディーゼル特有の振動もアイドリング時くらいしか感じない。もっとも、けっこうアイドリングストップが働くので、それを感じることも少ないのだが。
ゆとりの低速トルクと優れた燃費性能。これはロングドライブに最適だ
1380kgの車体に大人3人と3人分の一泊用荷物を載せて走り出す。ディーゼルターボは1.5Lとは思えないほど低速トルクがあり、ここ一発の加速や高速道路の追い越しなどでも「モアパワー!」と痛感するようなことはなく、走りっぷりに不満はない。
8速ATとの相性は良く、街中では3〜5速が中心、高速でも80km/hでは8速に入るか入らないかというセッティングだが、後述のように燃費は悪くない。8速100km/hでのエンジン回転数は1500rpmくらい(デジタルメーターは細かい数値まで読めないので)。アダプティブクルーズコントロール(ACC)の出来も良く、いわゆるレベル2の自動運転で快適なハイウエイクルージングが楽しめる。
ドライブモードはエコ/ノーマル/スポーツの3段階に切り換えられるが、ふつうに走るのならエコでも十分。今回もスポーツは勾配のきつい上り坂くらいでしか使用しなかった。そのスポーツモードで、ちょっとタイトなワインディングロードをそこそこのペースで走ってみたのだが、軽いスキール音を立てながらも軽快にコーナーを駆け抜ける。アンダーステアも弱い。プジョーのしなやかな「ネコ足」は健在だった。