日本でも人気のプレミアムSUVがバリューアップ
第5世代にあたる新型Cクラスは、全グレードがマイルドハイブリッドもしくはプラグインハイブリッド化されて話題を呼んでいる。これまで設定がなかった2L直4ディーゼルターボにも新たに、ISG(Integrated Starter-Generator)が組み合わされることになった。
一方、本国ドイツではそれと同じパワーユニットが、プレミアムSUVであるGLE/GLEクーペにも搭載されることが発表された。グレード名は「300 d 4MATIC」。日本市場では唯一、1000万円を切る「バリュープライス」で販売されているベースグレードであり当然、進化版の導入が期待されるモデルだ。
エンジン型式はOM654 M。従来型と同じ「OM654」にモディファイ(Modifi)の「M」を付加したものだ。MHEV化だけではなくストロークを2mm拡大、排気量は42cc拡大されている。ほかに燃料噴射圧を2500barから2700barに高めるなどエンジン本体もバージョンアップされ、エンジン単体での最高出力は27ps、最大トルクは50Nm向上している。
48VシステムとISGが、強力にアシストをサポート
組み合わされるのは、エンジンと9速AT(9Gトロニック)の間に配置された新世代ISGだ。48Vシステムを使い、最高出力20ps(15kW)/200Nmのアシスト力を発生している。
実はこれまでメルセデス・ベンツは、ISGを直6ターボおよびV8ツインターボに採用してきた。日本仕様のGLEにも450 4MATICスポーツやAMGモデルに搭載している。ただし世代はひとつ前のもので、16ps(10kW)/250Nmのアシスト性能を発生する。
一方、これまで直4ターボのMHEVモデルにはより構造がシンプルなBSG(Belt-driven Starter-Generator)が採用されている。こちらのアシスト力はわずかに10ps(8kW)/38Nmと、かなり控え目なものだ。それを考えれば、新しいISGによるサポートがどれほど強力なものか、わかってもらえるだろう。
パワーアップに合わせて4マティックも、よりダイナミックに進化
高効率化とともに力強さもグレードアップした新しい直4ディーゼルターボの搭載に合わせて、4マティックのシステムも改良されている。トランスファーケースに電子制御マルチプレートクラッチを備えることで、前後輪へのトルク配分の割合が0~100%の範囲まで広がった。
高度なトルクオンデマンド機能は、走行安定性が高まるとともにコーナリング時の敏捷性も向上させてくれるという。別表で欧州仕様車の現行型と新型のパフォーマンスを比較しているが、加速性能、最高速度、さらにはエミッションに至るまですべてのスペックで非MHEV仕様を凌ぐ。
本国では2021年11月から販売がスタートするとのこと。日本への導入が待ち遠しいメルセデス・ベンツが、またまた増えてしまった・・・。(文:Webモーターマガジン編集部 神原 久/写真:ダイムラーAG)