2009年、新しいコンパクトSUVとして人気のフォルクスワーゲン ティグアンに、都会派オンロード志向の「スポーツ&スタイル」が追加された。「道を選ばないオフローダー」から「路面や気象条件に左右されないスポーティモデル」という、コンパクトSUVの新たな側面を提案するモデルだった。今回は時代の変わり目にあって注目を浴びた、初代ティグアンの試乗記を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2009年7月号より)

満を持して登場したスポーツ&スタイル

時代の要請からか、最近は欧州のSUVも小型化に熱心。しかしその多くは全長4.5m級。まあ、長さ方向はともかくとしても、全幅が1800mm台半ばとなると、日本人の目からは「小型」とは納得し難い部分もある。

昨年2008年月に日本初上陸を果たしたティグアンもまた、そうした流れの中にある小型SUVだが、こちらは全長4460mm×全幅1810mm×全高1690mm(トラック&フィールド)といくぶん抑制が効いている。

数字にするとわずかな違いだが、これが与える「大きさ感」への影響は意外に強い。実はティグアンは国産小型SUVのRAV4やCR-V、エクストレイルなどとほぼ同等のサイズ感なのだが、そんな既視感も手伝って日本でも、素直に小ぶりで手頃なSUVと認知されたのではないだろうか。

それが端的に表れているのが、登場から5カ月で1800台以上となった国内での販売実績。この数字は輸入SUVとしては立派だ。ティグアンは日本の道路においても巨大感がなく、しかも価格も比較的手頃。そこにフォルクスワーゲンというブランドイメージが重なっての結果だと思う。

しかし、こうした傾向は日本だけではない。ドイツ本国でもティグアンの人気は絶大で、登場から3週間で4万台を販売するという快挙を成し遂げている。世の東西を問わず、小型SUVが注目を浴びているのは間違いない。

よりオンロード志向を強めたディメンションを採用

さて、タイガーとイグアナからティグアンと名づけられたこのクルマには、まだ発展的なストーリーが残されていた。昨年のトラック&フィールドの導入時からアナウンスされていたスポーツ&スタイルが到着したのだ。

スポーツ&スタイルの方向性をひと言で表すなら、よりオンロード志向を強めたモデル。トラック&フィールドは、オフロードにおける走破性向上を狙ってアプローチアングルをとるべく、フロントバンパー下を斜めに大胆に削っていたのだが、スポーツ&スタイルは一転してスカート状の厚みのあるバンパー形状を採る。このためトラック&フィールドでは28度のアプローチアングルは、スポーツ&スタイルでは18度となっている。

実は、ティグアンの基本スタイルは3パターンあって、海外にはもうひとつトレンド&ファンという、スポーツ&スタイルと同様アプローチアングル18度のものがあるが、これは日本には導入されない。トラック&フィールドはオフロードに特化したスペシャルモデル、本来の姿はスポーツ&スタイルでありトレンド&ファンにあると考えるのが自然だろう.

確かにスポーツ&スタイルはスタイリングも均整がとれている。トラック&フィールドは下面が反り上がっているのに加え、バンパーが30mm延長されているため、フロントマスクのアクが強い。もちろんこうした動的な表情にSUVらしさを感じる向きもあろうが、個人的にはスポーツ&スタイルの塊り感のある顔立ちの方が好みだ。いずれにせよ、個性分けはうまいと思う。

ちなみにスペック上では全高も異なるが、これはルーフ上のナビアンテナの有無によるもの。スポーツ&スタイルは最新ナビシステムのRNS510が標準装備なのだ。もちろんこれはトラック&フィールドにもオプション装着可能で、その際にはスポーツ&スタイルと同じ1710mmの全高になる。

画像: 新しいコンパクトSUVとして人気のティグアンに追加設定された200ps仕様のスポーツ&スタイル。ユニークなホイールアーチと大きめのタイヤ、印象的な太めのCピラー、助手席サイドミラーに組み込まれたサイドミラー、精悍なデザインのスタティック&ダイナミックコーナリングライト内蔵バイキセノンヘッドライトなども、ティグアンのデザイン上の大きな特徴となっている。

新しいコンパクトSUVとして人気のティグアンに追加設定された200ps仕様のスポーツ&スタイル。ユニークなホイールアーチと大きめのタイヤ、印象的な太めのCピラー、助手席サイドミラーに組み込まれたサイドミラー、精悍なデザインのスタティック&ダイナミックコーナリングライト内蔵バイキセノンヘッドライトなども、ティグアンのデザイン上の大きな特徴となっている。

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