いま、日本でいちばん売れている輸入車といえば、MINI。その秘密を探るべく、鈴木ケンイチ レポーターは最新MINIの3ドアと5ドアに試乗してみた。

2016年度から輸入車ナンバーワンを維持し続けるMINI

画像: MINIの基本形である3ドア。全長は3.9mを切るコンパクトなサイズだが、全幅は1.7mを超え、MINIといえども3ナンバーになってしまった。

MINIの基本形である3ドア。全長は3.9mを切るコンパクトなサイズだが、全幅は1.7mを超え、MINIといえども3ナンバーになってしまった。

2021年現在、日本でいちばん売れている輸入車は何かといえば、「MINI」だ。JAIA(日本自動車輸入組合)が発表している「外国メーカー車モデル別新車登録台数ランキング」の最新版となる2021年度上半期(2021年4月~9月)の1位は「MINI」(8285台)。2位の「ゴルフ」(5475台)に3000台近い差をつけている。しかも年度でいえば、2016年度(2016年4月~2017年3月)から2020年度まで5年連続で1位を守っている。ちなみに、その前は、ずっとゴルフが1位だった。

MINIが首位となった2016年は、ちょうどフォルクスワーゲンによるディーゼル不正が発覚した翌年であり、皮肉にもMINIが日本にクリーンディーゼル モデルを導入した年でもある。

2021年は、フォルクスワーゲンが第8世代となる新型ゴルフを日本に導入。また、MINIもビッグ マイナーチェンジを5月に実施。まさに今、2021年の後半戦は新しくなったゴルフとMINIの熾烈な販売合戦の真っ最中となっている。そこで今回は、マイナーチェンジされたMINIの3ドアと5ドアを試乗して、その魅力を改めてチェックしてみたい。

マイナーチェンジで内外装のリファインと装備の充実を図った

画像: クーパーSDのインテリア。メーターパネルはデジタル表示のマルチディスプレイとなり、8.8インチのセンターディスプレイが全車標準装備となった。

クーパーSDのインテリア。メーターパネルはデジタル表示のマルチディスプレイとなり、8.8インチのセンターディスプレイが全車標準装備となった。

試乗車は、3ドアがクーパーS、5ドアがクーパーSD。前者は最高出力192psと最大トルク280Nmを発生する2Lの直列4気筒ガソリンターボを搭載し、トランスミッションは7速DCTを組み合わせる。後者は170psと360Nmを発生する2Lの直列4気筒ディーゼルターボを搭載し、トランスミッションは8速AT。いずれも駆動方式は、前輪駆動(FF)だ。

今回のマイナーチェンジで、内外装のデザインがリファインされた。LEDヘッドランプ、8.8インチ ワイドカラーのセンターディスプレイ、レザーステアリングホイールが全車標準になるなど、MINIらしさをキープしつつ質感をアップしている。運転支援システムも進化しており、ACC(アダプティブ クルーズコントロール)にストップ&ゴー機能を追加している。

通信モジュールを搭載するMINIコネクテッドも全車に標準装備された。スマートフォンのアプリを使って、クルマの施錠やヘッドライト点灯、ナビの目的地転送などを行うこともできるようになった。価格帯は、3ドアが273~397万円、5ドアが290~427万円だ。

BMW傘下となったMINIは、以前のクラシック MINIに対してニュー MINIなどと呼ばれることもあるが、現行モデルは2014年に日本に導入された第3世代のニュー MINIとなる。これまでにも2018年と2021年というように定期的なビッグ マイナーチェンジを実施しており、常にフレッシュさを保っているのも特徴といえるだろう。

ここで、ちょっと個人的に気になったのが車両価格だ。最上級グレードとはいえ、3ドアで400万円近い。5ドアはディーゼルということもあり400万円台となる。オプションの選び方次第では、500万円にも手が届きそうな価格帯となっている。別に「高くてけしからん」と言いたいわけではない。実際にベストセラーになっているのだから、現在の価格にユーザーも不満はないのだろう。

ここで言いたいのは、「20年前に登場した初代のころは、もっと安かったなあ」ということだ。エントリーグレードは195万円で、最上級グレードでも260万円程度だった。だが手ごろな価格ではあったが、そのぶん内装も価格なりだった。デザインはユニークだったけれどプラスチッキーで、どこかオモチャのような印象であった。かつて日本で人気を集めた、パイクカーといったイメージのクルマだったのだ。

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