ヴァルハラの生産台数は最大で999台
このところ「アストンマーティン」というハイエンドスポーツカーブランドがより幅広いユーザー層に受け入れられていと感じる。
かつては、限られたエクスクルーシブなオーナーたちがその伝統的なスポーツカーのドライビングとライフスタイルを楽しんでいたという印象が強いが、近年は並みいるスーパーカーたちよりも強烈な個性と存在感を発揮することで、プレミアムかつリッチなユーザーたちの心を掴むことに成功しているのだ。
その成功ぶりをさらなる高みへと押し上げるであろう象徴的な存在が、ハイブリッドスーパーカーとして発表された「ヴァルハラ」である。2019年に発表されたプロトタイプモデルから大きく姿を変えた市販モデルのデザインは、いかにもアストンマーティンらしい流麗なものだ。
トップモデルのヴァルキリーで導入された最先端のエアロダイナミクスが採用されて、極限にまで空力性能を突き詰めたボディは、カーボンファイバー製のコンポーネントが随所に用いられており、軽量化とともに高剛性を誇っている。
新世代PHEVスーパーカーの日本での販売価格は1億200万円。
パワートレーンにはミッドシップされた最高出力750ps/7200rpm仕様の4L V8ツインターボエンジンと3基の電気モーターを前後に備えたPHEVシステムを搭載する。モーター全体では204psの出力をさらにアドオンできるという。システム最高出力では950ps、最高速度は350km/h、0→100km/h加速は2.5秒である。またEVモード走行時の航続距離は15km、最高速度は130km/hだという。
生産台数は受注状況にもよるが最大でも999台までとのことで、デリバリーは2023年の後半あたりからの予定だ。ちなみに日本での価格は1億200万円だがヴァルハラは標準状態で主要な装備がほぼ採用されているので、ここからさらに加えるオプションなどはあまりないはずだろうというコメントもあった。
日本では、アストンマーティン初のSUVであるDBXの販売が好調であり、名だたるマーケットの中でトップクラスの成功を収めている。そのことから、今後のポートフォリオにおいて重要な役割を担うスーパーラグジュアリーなミッドシップスポーツモデル、ヴァルハラのセールスに対する期待も当然、高くなるわけだ。
公道を走れる新時代のPHEVスーパースポーツカー、そのハンドルを握ることのできるオーナーが羨ましい限りである。(文:Motor Magazine編集部 香高和仁/写真:井上雅行)