車内の広さや荷室の使い勝手は二重丸だ
足まわりは、先代ほど強烈な接地感はなく、ライトな足さばきだ。ステアフィールも軽い。乗り心地と取りまわし性を考慮したのだろうが、欧州車らしさは薄れた。ロールの立ち上がりが少しグラリとくるところにもそれは表れている。しかし、この初期ロールを過ぎるとグッと踏ん張りが出て、フラットなコーナリング姿勢を維持する。そんな時の粘り腰はさすが欧州育ちだ。
短めのノーズとロングキャビン、テールエンドもなだらかに引き下ろした新型アベンシス。一見するとスタイル重視のようだが、室内は驚くほど広い。やや低めのドライビングポジションながら、フロント/リアともに余裕たっぷり。インテリアも豪華ではないが、トヨタらしいていねいな作りだ。
ラゲッジルームの広さも圧巻だ。フロアの奥行き/幅ともクラス最大級だし、リアゲートの開口部も大きく、段差がまったくない。さらに、床下にも巨大な収納もありと、使い勝手はパサートと同等、もしくはそれ以上と断言できる。リアシートはシングルフォールド式。たたんだ時にわずかに角度が残るが、センタースルーで長尺物の収納も可能など、日常生活の中で必要な使い勝手はキッチリと押さえてある。
欲を言えば、手で出し入れをする必要があるトノカバーを、欧州車ではすでにスタンダードになっているリアハッチの開閉に合わせて開くタイプにしたり、電動パワーゲートの設定があればベストだ。しかし、それはこのクルマが欧州では2008年にデビューしたことにも関係している。3年前に登場しながら、最新のパサートに迫る走りと実用性を備えているのは立派だと言えるだろう。
■トヨタ アベンシス Xi 主要諸元
●全長×全幅×全高:4765×1810×1480mm
●ホイールベース:2700mm
●車両重量:1470kg
●エンジン種類:直4 DOHC
●排気量:1986cc
●最高出力:112kW<152ps>/6200rpm
●最大トルク:196Nm<20.0kgm>/4400rpm
●トランスミッション:CVT
●駆動方式:横置きFF
●JC08モード燃費:13.6km/L
●タイヤ:205/60R16
●当時の車両価格(税込):250万円