充電する環境はいつも快適とは限らないし課題も多い
そこからは京都を経由して愛知方面に。高速に乗り、上りの草津SAで充電。RSは48％（200km）、GTは50％（215km）となった。ただし、下り線のPA同様、使う側に立って配慮されておらず、クルマが通路をスムーズに通れない。やむをえずバックして退出せざるをえないほどだ。操作盤の表示も相変わらず見にくく課題の多さも感じられた。
一般道に出て、1台分だけ急速充電器がある道の駅でGTを55％（238km）まで充電。そこから宿泊地のルートイン知立まで、計約115kmを走行。電費はどちらも5.0km／kWh前後だ。「充電設備がエントランスから離れていると（ICE搭載車が）間違って駐車しない」とホテル関係者が言うとおり、スペースに余裕のある場所に2台分の普通充電器が設置されており、ここでGTが27％（116km）、RSが23％（94km）から充電開始。満充電までの時間はそれぞれ22時間49分と22時間55分と表示された。
翌朝の出発時にはGTが73％（308km）、RSが71％（285km）まで充電できていた。外気温は16度で、エアコンを21度に設定すると暖房が出るので、消すと航続距離が伸びるという表示も出た。そして、ほど近いアウディ刈谷へ取材に向かい充電させてもらったところ、GTが急速充電できないトラブルが発生してしまう。どうやら90kWの新電源との相性が良くないようなので普通充電器で、少しだけ充電した。
こちらに設置されていたのも1基で2台分を振り分ける90kW仕様のタイプで、両側に適宜配分する仕組みとなっている。そうなると1基でガツンと入れた方が賢明な状況も多分にありそうだ。
最新のe-tronディーラーは、90kWの急速充電器が設置される。
ACCを使って走り電費は最高で7.3km／kWhを記録
取材後は恵那峡を目指す。高速道路の100km／h巡航時に瞬間電費を見ると、5～6km／kWh。速めのペースと大人しく走ったときの差が小さいような気がする。恵那ICで下りて、風光明媚な周辺を散策したのち、宿泊地へ。ここまでの走行距離は約814kmだ。宿泊地に1基の普通充電器があったので、GTをひと晩充電して32％→71％、142km→286kmに。RSは33分だけ充電して32％→35％、132km→140kmに。
そこからはアップダウンのあるカントリーロードを50km／hぐらいで走ったところ、区間電費はGTの5.9km／kWhに対し、RSが6.1km／kWhと上回ったのは少々意外。この経路に1基の急速充電器があるので、今度はRSを26％→31％、97km→126kmまで充電した。その先は下り勾配が多かったせいか、電費はRSが6.7km／kWh、GTが6.5km／kWhとなりピークで6.8km／kWhまで上がった。
帰路、中央道に乗って恵那峡SAで充電し、さらに諏訪湖SAでGTとRSは別行動に。ここまでの走行距離は約978km。GTを66％（278km）まで充電し、あとはエコドライブ。80km／h走行での電費のピークが7.3km／kWhで、航続距離も走り始めは80kmぐらいだったところ130km程度まで伸びた。一方のRSは八ケ岳PAで、73％（287km）まで充電。ハイペースで走ったところ電費は4km／kWh台だった。
返却時の走行距離は1177km。発売されたばかりの高性能BEVを2台伴ってのロングドライブは無謀という声もあるかと思うが、マイナートラブルにも見舞われながらも、終わってみれば実に達成感のある、楽しい取材となった。（文：岡本幸一郎／写真：永元秀和）
ロングドライブを快適にしてくれるACC。安心感も高く、疲労を軽減してくれる。
アウディRS e-tron GT 主要諸元
●全長×全幅×全高：4990×1965×1395mm
●ホイールベース：2900mm
●車両重量：2320kg
●モーター：交流同期電動機
●モーター最高出力：475kW
●モーター最大トルク：830Nm
●バッテリー総電力量：93.4kWh
●WLTCモード航続距離：534km
●駆動方式：4WD
●タイヤサイズ：前245／45R20、後285／40R20
●車両価格（税込）：1799万円
アウディe-tron GTクワトロ 主要諸元
●全長×全幅×全高：4990×1965×1415mm
●ホイールベース：2900mm
●車両重量：2280kg
●モーター：交流同期電動機
●モーター最高出力：390kW
●モーター最大トルク：640Nm
●バッテリー総電力量：93.4kWh
●WLTCモード航続距離：534km
●駆動方式：4WD
●タイヤサイズ：前225／55R19、後275／45R19
●車両価格（税込）：1399万円
