大雪による道路障害は近年、けっして他人事ではない。道路上で立ち往生などすれば、普通のエンジン車だって「ガス欠」の不安と向き合うことに。ましてやそれが発電機代わりのエンジンを持たないEVだったら・・・という、ありそうなシチュエーションでの「防寒対策」について、JAF(一般社団法人日本自動車連盟)が興味深い検証結果を発表している。バッテリー消費を抑えつつできるだけ長時間、快適に過ごすためのノウハウとは。

ときには、70時間近く立往生に巻き込まれる可能性だってあるのだ

画像: 日産リーフの誕生以来、バッテリーEVは実用車として「当たり前」の存在になりつつあるが・・・(画像はイメージです)

日産リーフの誕生以来、バッテリーEVは実用車として「当たり前」の存在になりつつあるが・・・(画像はイメージです)

国土交通省から、令和2年から3年にかけて冬の間に発生した「大規模な車両滞留等について」というレポートが、公表されている。たとえばこんな2件の、とんでもなく大変な車両滞留が起こっていた。

■関越自動車道(新潟県)における車両滞留 立ち往生した車両総数:約2100台
発生→解除日時:令和2年12月16日17:52発生→12月19日21:30通行止め全面解除
区間:小出IC~月夜野IC(上下線)

■北陸自動車道(福井県)における車両滞留 立ち往生した車両総数:約3200台
発生→解除日時:令和3年1月9日11:30発生→1月12日6:00通行止め全面解除
区間:金津IC~福井IC(上下線)

ほかにも国道8号線(福井県)で発生した渋滞は、最大で約15.5kmにおよび、通行止め開始から解除までほぼ2日かかっている。そんな渋滞や滞留につかまり、車内で過ごさなければならない時に、普及が進みつつあるバッテリーEVではどのように電力消費を抑えながら、防寒対策をとればいいのだろうか。

4つの暖房使用条件において電気自動車の電力消費の違いをチェック

画像: 赤外線サーモグラフィで車内温度を可視化している。テスト開始時は当然、どの車両も暖かい。

赤外線サーモグラフィで車内温度を可視化している。テスト開始時は当然、どの車両も暖かい。

画像: 5時間後。オートエアコンを常時使った車両以外は、みるみる温度が下がっていく。これは寒そう。

5時間後。オートエアコンを常時使った車両以外は、みるみる温度が下がっていく。これは寒そう。

実験開始時の外気温は−8.1度。テスト車として4台の電気自動車が用意された。それぞれに異なる暖房使用条件を設定、車内とは定期的に無線で連絡を取り、電力の残量、航続可能距離、快適性などについて記録をとっていった。同時に、赤外線サーモグラフィーで車内温度を観察している。

■暖房使用条件
テスト車 1(画像左上):オートエアコン25度常時稼働
テスト車 2(画像右上):電気毛布(電源ソケット使用)のみ
テスト車 3(画像左下):シートヒーターをHi、足元に電気フットヒーター(電源ソケット使用)
テスト車 4(画像右下):毛布、寒く感じたときにエアコンON、寒くなくなったらエアコンOFF

まず「いかに快適に過ごせるか」という視点で検証してみる。実験は1名乗車の状態で、PM7:00から5時間後のAM0:00までを車内で過ごした。

この場合、テスト車1のオートエアコン常時稼働がやはりもっとも過ごしやすい。テスト車2~4のエアコンOFFでは5時間ほどで窓ガラスが凍りつき、肌が露出した部分や手足の先端といった、暖房器具で覆いきれないところの冷えが厳しくなっていくという。

継続して行われた「電力消費の程度」の検証では、乗員なしでオートエアコン25度に設定、AM2:00〜AM8:00の6時間でテストした。

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