もともとその伝説的名車は、人にも環境にもとことん優しかった
「もし、アレック・イシゴニスが今日、クラシックミニを改めてデザインしたなら、コンパクトカーのアイコン的存在として電気モーターを搭載させたことでしょう」・・・「Recharged and electrifying: the classic Mini launches into the future.」と題されたリリースは、そんな下りから始まっている。
1959年に発売されたオリジナルMINIは、驚くほど高効率なパッケージングと燃費性能に優れたパワートレーンを備え、使って良し、走って良しのコンパクトカーとして世界中で大人気となった。当時としてはきわめて「地球環境に優しい」魅力的なエコカーだった、と言っていい。
そんな元祖MINIを、電機自動車化する専任チームが活動をスタートした。その生産現場であり聖地でもある英国オックスフォード工場で作られる「MINI リチャージ プロジェクト」として、MINIの原初的な魅力を持続可能な方法で伝えることが目的だ。
電動化で再現された走りの愉しさ。「第二の人生」はかなり明るい
ガソリンエンジンは、最新のエレクトリックドライブトレーンに換装。最大出力6.6kWの高電圧バッテリーによって電力を供給され、最大90kW(約122ps)の連続出力を発生する。0→100km/h加速は約9秒でこなし、予想される最大航続距離はおよそ160kmとなっている(WLTPモード)。
ベースの車両はもちろん、すでに幾星霜を経て愛され続けてきたオリジナルモデルたちだが、電動化に伴う変更点は必要な部分だけ。後日、再びガソリン仕様に戻すことも可能なのだ。電気モーターと入れ替えられたエンジンはマーキングされ、それぞれに保管されるという。
「古典的」でありながらも魅力的なクラシックMINIが、MINIらしさを失うことなく最新のパワートレーンを搭載することで、改めてその優れたパッケージング性能に驚かされることになりそうだ。
クラシックMINIの「第二の人生」は、その存在自体が持つ歴史的な価値を、再び高めてくれることだろう。その小さな名車は、電動化という時代の変化にも変わることなく、永遠に愛すべき存在として生まれ変わり続けるのかもしれない。(文:Webモーターマガジン編集部 神原 久)