2022年2月10日、FCAジャパンは千葉市の幕張メッセで開催中のジャパン キャンビングカーショー 2022の会場において、フィアット プロフェッショナルのベストセラー商⽤⾞である「DUCATO(デュカト)」をキャンピングカーのベース⾞両として正式導⼊することを決定し、新たにデュカト専⽤の販売ネットワークを構築することを発表した。デリバリーは2022年下半期を予定している。

欧州商用車市場で7割のシェアを持つベストセラーカー

昨今のアウトドアブームや新型コロナウイルス感染拡大の影響により、鉄道を使う旅よりはクルマで出かける旅を楽しむ人が増えてきた。そのため、日本のキャンピングカー市場は拡大傾向にある。2020年のキャンピングカー登録台数は8124台で、2016年あたりから毎年着実に台数を伸ばしている。ちなみに、この台数は世界でも第6位にあたる。

さて、フィアット プロフェッショナルはステランティス グループのフィアット ブランドで、小型商用車を製造するメーカーだ。今回、日本市場に初導入されるデュカトは、2020年に誕生40周年をむかえ、2020年/2021年にはヨーロッパにおける小型商用車のベストセラーとなっている。2020年の世界販売台数は約15万台で、2019年より8%増加している。現行モデルは3代目にあたり、2006年に登場したロングランモデルとなっている。

画像: 展示車両は標準ホイールベース(3120mm)のL2H2だが、それでも全長は5.4m以上もある。スライドドアの開口部も大きい。

展示車両は標準ホイールベース(3120mm)のL2H2だが、それでも全長は5.4m以上もある。スライドドアの開口部も大きい。

スタイルはモノフォルムのバン形状だが、フルLEDのヘッドライトを備えた大型グリルやスキッドプレートなど、顔つきは日本の商用車とは一線を画す独特のものだ。日本仕様は、標準ホイールベース(3450mm/全長5413×全高2524mm)のL2H2、ロングホイールベース(4035mm/5998×2524mm)のL3H2、そのハイルーフ版のL3H3(4035mm/5998×2764mm)の3タイプとなる。いずれも全幅は2020mmだ。(数値はすべて欧州仕様参考値)

日本の左側通行に対応して、ハンドル位置は右に、大きなサイドスライドドアは左側に変更されている。インテリアでは、運転席と助手席には180度回転可能なキャプテンシートを採用。インパネはフルデジタルで、キーレスエントリー&ゴー、電動パーキングブレーキ、10.1インチのタッチスクリーン、ナビゲーションシステム、スマートフォンとのリンク&ワイヤレス充電機能なども備えている。

日本仕様のパワートレーンは、最高出力178hp/最大トルク450Nmを発生する2.3Lのディーゼルターボエンジンに9速ATを組み合わせ、前輪を駆動する。ステアリングに自動調整式アシストシステムを備えて、車両のハンドリングがさらに向上し、低速での運転や駐車をしやすくしている。

また、商用車ながら乗用車並みのパッシブ/アクティブセーフティ機能を搭載している。スピードリミッター、予期せぬ障害物に遭遇した場合のブレーキ制御、クルーズコントロール、レーンデパーチャーウオーニング、デジタル ルームミラーなどを装備している。

画像: 日本仕様は右ハンドルを採用している。フルデジタル化されたインパネに、安全&快適装備は乗用車並みのレベルに充実している。

日本仕様は右ハンドルを採用している。フルデジタル化されたインパネに、安全&快適装備は乗用車並みのレベルに充実している。

デュカトの車両価格は未架装の状態で469万円から。販売方法としては、主に正規ディーラーから架装業車などへのB to B(法人間取引)を想定しており、既存のディーラー ネットワークだけでなく、主に全国のキャンピングカー ビルダー各社などと広くビジネスパートナーとして連携し、正規販売店のネットワークを構築する予定だ。

またFCAジャパンでは、キャンピングカーだけでなく物流や輸送、お客の送迎など、多種多様な商用車セグメントにおいても導入されることも期待している。レジャー志向の個人ユーザーだけでなく、プロフェッショナルとしての使用を想定しているユーザーにも、デュカトは注目されることだろう。

なお、デュカトがお披露目されたジャパン キャンビングカーショー 2022の会場では、2021年11月に日本導入が発表されたジープのピックアップ トラック「グラディエーター」の実車も日本初公開され、FCAジャパンのブースは2台の個性的なモデルの展示で多くのギャラリーを集めていた。

画像: ジープのピックアップ トラック「グラディエーター」の実車も日本初公開された。展示用にリアサイドドアは外されている。

ジープのピックアップ トラック「グラディエーター」の実車も日本初公開された。展示用にリアサイドドアは外されている。

■フィアット プロフェッショナル デュカト L2H2 主要諸元(欧州仕様参考値)

●全長×全幅×全高:5413×2050×2524mm
●ホイールベース:3120mm
●車両重量:1975kg
●エンジン:直4 DOHCディーゼルターボ
●総排気量:2287cc
●最高出力:130kW(178hp)/3500rpm
●最大トルク:450Nm(45.9kgm)/1500−3000rpm
●トランスミッション:9速AT
●駆動方式:横置きFF
●燃料・タンク容量:軽油・75L
●EU総合燃費:10.1km/L
●タイヤサイズ:225/75R16
●車両価格(税込):469万円〜

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