未来感のあるゴルフeTSIその新鮮な感覚こそが魅力
もう1台のゴルフeTSIアクティブは、MINIとは対極にあるクルマと言っていい。エンジンは、3台の中で最小となる1L直列3気筒ターボ。ただし48Vのマイルドハイブリッドシステムによる意外なほど強力な電動パワーにより、身軽に発進してストレスを感じさせない。
それと同時に、内燃機関とは明らかに異なる電気モーターによるパワーの立ち上がり方が独特で、電気自動車に乗っているときと同じような未来感が味わえる。この新鮮な感覚こそ、ゴルフeTSIを象徴しているものかもしれない。そして、発進直後はモーターの力が勝っているものの、その後はエンジンの占める比率が徐々に高くなっていくことはご想像のとおり。
そんな時には3気筒エンジン特有の軽いビート感も響いてくるが、全体的な騒音レベルはまずまず低い。いっぽうで、高速域での加速感は「1Lなりのレベル」で特別に力強いことはないものの、これが高効率の原動力であることも事実だ。
足まわりは、快適性重視のソフトなセッティング。それでもコーナリング性能は十分に高いが、ロールもそれなりに大きく、荒れた路面ではボディが軽く煽られることもあった。大入力時にボディに残る微振動が気になるのは、前項で述べたとおり。重大な欠点ではないが、私がゴルフに寄せる信頼が少し揺らいだことは事実だ。
ディスプレイへのタッチ操作が多用されたコクピットまわりは、スッキリとしているうえに新鮮だ。ただし、操作性に関しては煮詰められていない部分もあり、正直、現状ではまだまだ扱いにくい。ナビの目的地検索などは本来、音声認識を主体としたシステム構成なのだろうが、その肝心の音声認識の認識率が決して高くないのは残念で、改良を望みたい部分だ。
快適性を重視しつつ安定。ゴルフTDIの優れた質感
この2台に対して、ゴルフTDIはコンパクトカーの王道とも言える立ち位置にいる。足まわりは快適性重視ながらハンドリングも良好で、荒れた路面や高速道路でもピシッと安定している。そして、ボディは巌のように頑丈で安心感と優れた質感が滲み出ている。2L直列4気筒ディーゼルターボエンジンは十分に静かでスムーズなうえに、常用域での力強さは抜群。
しかも実用燃費は良好で、しばしば20km/Lを越えた。デジタル中心の操作系が煮詰め不足なことはゴルフeTSIで述べたとおりだが、室内は広々として使いやすい。まさに、ファミリーカーのお手本と言っていい仕上がりだ。
したがって私は、3台の中では断然、ゴルフTDIに惹かれる。(文:大谷達也/写真:井上雅行、永元秀和)
フォルクスワーゲン ゴルフ TDIアクティブ アドバンス 主要諸元
●全長×全幅×全高:4295×1790×1475mm
●ホイールベース:2620mm
●車両重量:1460kg
●エンジン:直4 DOHCディーゼルターボ
●総排気量:1968cc
●最高出力:110kW(150ps)/3000-4200rpm
●最大トルク:360Nm/1600-2750rpm
●トランスミッション:7速DCT(DSG)
●駆動方式:FF
●燃料・タンク容量:軽油・51L
●WLTCモード燃費:20.0km/L
●タイヤサイズ:225/45R17
●車両価格(税込):398万9000円
フォルクスワーゲン ゴルフ eTSIアクティブ 主要諸元
●全長×全幅×全高:4295×1790×1475mm
●ホイールベース:2620mm
●車両重量:1310kg
●エンジン:直3 DOHCターボ+モーター
●総排気量:999cc
●最高出力:81kW(110ps)/5500rpm
●最大トルク:200Nm/2000-3000rpm
●モーター最高出力:9.4kw(13ps)
●モーター最大トルク:62Nm
●トランスミッション:7速DCT(DSG)
●駆動方式:FF
●燃料・タンク容量:プレミアム・47L
●WLTCモード燃費:18.6km/L
●タイヤサイズ:205/55R16
●車両価格(税込):317万1000円
MINI クーパーD 5ドア 主要諸元
●全長×全幅×全高:4025×1725×1445mm
●ホイールベース:2565mm
●車両重量:1290kg
●エンジン:直3 DOHCディーゼルターボ
●総排気量:1496cc
●最高出力:85kW(116ps)/4000rpm
●最大トルク:270Nm/1750-2250rpm
●トランスミッション:7速DCT
●駆動方式:FF
●燃料・タンク容量:軽油・44L
●WLTCモード燃費:19.5km/L
●タイヤサイズ:175/65R15
●車両価格(税込):373万円