トランスポーターを凌ぐスペース効率を、電動化で実現
思えば「BUZZ」は、表情豊かなLEDの「目」がついていたり、1充電での走行距離が600kmもあったり、広々としたスペースユーティリティには8人分がゆったり乗れるとか、完全自動運転時には対面シートで和気あいあいとか、移動する時間の未来まで変えるような「可能性」を提案していた。
実際に市販されたID.Buzzはといえば、さすがにそこまで機能的に飛んではいない。それでもかなり開口部が大きめな左右のスライドドアとか、5人がゆったり過ごせるキャビンのゆとりなど、「バス」まではいかずとも「ワゴン」を凌ぐ快適性を備えている。
フォルクスワーゲンの中でもとりわけユーティリティ自慢なモデルと言えば、コマーシャルユースの決定版「トランスポーター」がまずは思い浮かぶだろう。2015年に現行型「T6」が登場、2019年にフェイスリフトを受けて「T6.1」の愛称が冠された。
そのT6.1は全長がおよそ4900mm、全幅(ミラーを除く)がおよそ1900mm、全高が1970mmとなっている。対するID.Buzzはと言えば、全長は4712mmと200mm近く短い一方で、全幅は1985mmで80mmほどワイド。全高は1938mmなどで、端的に言えば「ワイド&ロー」なマッシブなフォルムが与えられている。
注目すべきはホイールベースで、ID.Buzzは2988mmと、T6.1よりもわずかに12mmほどしか短くなっていない。おかげで人の居住性だけでなく、荷室の広さもサイズ感を超える。フル乗車で1121Lの容量は、後席をフォールドすれば2205Lまで拡大される。このあたり、MEBプラットフォームの恩恵は明らかだ。
リアアクスル部分に電気モーター(200ps)とパワーマネジメント機構などの駆動系メカニズムをコンパクトにまとめ、補助ユニットは車体前部に配置、その間に77kWの駆動用バッテリーが効率的に配置される。圧倒的に短いフロントオーバーハングもまた、最新のMPVらしい躍動感を感じさせるポイントのひとつだろう。
ロングホイールベースで7人乗りの仕様も追加予定
ID.Buzzは「中期的ビジョン」として、ロングホイールベース仕様車の存在も明らかにされている。6~7人乗りの仕様ということだから、まさしく「バス」の領域に達することになる。
さらにT6.1と同じく、ハイクオリティなキャンピングカー仕様「カリフォルニア」のラインナップについても期待大。ということで、これからますますID.Buzzへの注目度は高まることになりそうだ。