空力学的理論を積極的に採用したスタイリング
「タイプ132」のコードネームで呼ばれていたロータスの次期モデルは、噂どおりフル電動のハイパーSUVだった。そして、このモデル以降、ロータスはEV専門メーカーとなる。その名は「エレトレ(Eletre)」。ロータスのネーミング流儀に則り「E」で始まるまっさらの車名は、東ヨーロッパの言語で「Coming to Life」を意味するという。
エレトレは、ロータスのポートフォリオに大胆な新次元をもたらす。初の5ドア プロダクションカーであり、初のスポーツカーセグメント以外のモデルであり、初のライフスタイルEVであり、そしてロータス史上もっともデジタル化が進むとともにコネクトに配慮されたモデルだ。
だが、ロータスの矜持である先駆的な技術、本物のスポーツ性能、目的のシンプルさを満載した美しいモデルであることに変わりはない。
スタイリングはキャブフォワードのスタンス、ロングホイールベース、フロントとリアのショートオーバーハングなど、大胆かつドラマチックなものだ。短いボンネットは、ロータスの象徴であるミッドエンジンレイアウトのイメージを踏襲している。全体として視覚的に軽快さがあり、SUVというよりも、むしろハイライディング スポーツカーのような印象を受ける。
エレトレは、ハイパーEVのエヴァイヤ同様、空気は車体の上下や周囲にも流れるという空力学的理論「ポロシティ」をデザインに採用している。たとえば、車体前縁の下を流れた空気はボンネット上部に組み込まれた2つの出口から排出される。フロントホイールアーチの前方や後方、リアホイールの後方、さらにはDピラーの上部にもポロシティがあり、空気抵抗を少なくすることで航続距離/速度/性能の向上を図っている。
フロントまわりのデザインは、エヴァイヤやエミーラの系譜を受け継いでいる。スリムなライトクラスターは、ヘッドランプにマトリクス方式を採用している。フロントグリルは必要に応じて開閉するアクティブグリル。ウインドスクリーンは傾斜が強く、サイドウインドーの幅も狭い。フローティングタイプのDピラーには、ドラッグを低減するエアブレードが備わる。
ドアミラーの代わりに電動リバースミラーディスプレイ(ERMD)を採用(許可されていない国では標準のミラーを装着)し、リアまわりではフルワイドリボンライトがボディサイドの特徴的なラインと繋がっている。ルーフエンドではカーボンファイバー製のスプリットルーフスポイラーが特徴的だ。多くの部位にカーボンファイバーとアルミニウムを最大限に活用し、軽量化を実現している。