なぜbZ4Xはサブスクだけで販売? そこにはKINTOの進化があった
2022年4月に中1日の間を空けて正式発表されたトヨタ bZ4X(ビーズィーフォーエックス・4月12日)とスバル ソルテラ(4月14日)は、兄弟車でありながら販売スタイルが決定的に異なっていた。ソルテラはディーラーで普通のクルマと同じように販売される。だがbZ4Xは個人向けに、トヨタ独自のサブスクリプションサービス「KINTO」でのみの取り扱いとなる。
KINTOは車両価格とともに税金、自動車保険、メンテナンス費までコミコミで「月々いくら」のリース契約だ。すべての契約はWebで完結。「解約金フリープラン」や「初期費用フリープラン」といった、ニーズに合わせたサービス設定もある。
それにしてもなぜにbZ4Xはサブスクだけなのだろうか。トヨタの公式発表によれば、今回のリース販売の目的は大きく分けてふたつ挙げられている。ひとつは「お客様の不安解消」、そしてもうひとつは「カーボンニュートラルへの貢献」だ。
ここで言う「不安」とは電池性能、メンテナンス、残価などBEVに対して抱きがちなデメリットに関するものであり、バッテリーを全数管理することでリビルト、リユース、リサイクルの3つの側面から環境保護に「貢献」する。
充実したサービスを、追加コストを抑えながら受けられる
シンプルに考えればKINTOによるサブスク化は、一般ユーザーが「電気自動車に乗る」ハードルを下げるための実験的施策と言えるかもしれない。
実際、「クルマを所有している気がしない」というデメリットだけ割り切ってしまえば、サブスク化によるメリットは確かに多い。フルメンテナンス付きで、故障修理に関しても広くカバーしてくれるなど、追加コストを抑えながら充実サービスを受けられる安心感はやはり大きい。
さらに、技術革新や経年劣化に合わせてソフトウェア・ハードウェアの機能や最新のデバイスをタイムリーに反映してくれる「KINTO FACTORY」のサービスにも注目したい。ユーザーの手元に渡ってからも、bZ4Xは常に進化を続ける。売りっぱなしではないのだ。
だとすれば、スバルも同じシステムを導入すればよかったのでは? と思われるかもしれないが、残念ながらスバル版「KINTO」は今のところ展開されていない。つまりはトヨタが今回、極めて挑戦的なセールスプログラムを実現することができたのは、「KINTO」の存在感が日に日に増しているからこそ、と言える。
ライフスタイルの多様化までサポートするKINTOの新展開
KINTOは、2019年7月から全国展開を開始した。菅田将暉や二階堂ふみ、矢本悠馬らの自然体な演技でも話題を呼んだ「やっぱクルマいいな」CMやTS CUBIC CARDとのポイント連携といった「応援キャンペーン」の効果もあって、着実に知名度を高めていった。
KINTOの事業展開が興味深いのは、単なる自動車販売の革新だけでなく、自動車を使ったライフスタイルの多様化をサポートする取り組みにも積極的だったことだろう。車中泊、リモートワークといったキーワードを絡めたキャンピングカー旅行のプレゼントキャンペーンのほか、ドライブインシアターと組んでの上映会協賛にもチャレンジしている。
そうした異業種とのコラボレーション活動は、2021年1月には「モビリティマーケット」というオンラインでのサービスプラットフォームに帰結する。体験型プログラムのほか、グルメ・レストランプラン、洗車といった実用性の高いサービスメニューが充実しているのが嬉しいポイントだ。