いかにも優雅なクーペらしい洗練された乗り味を持つ
走り出してすぐに、その乗り心地の良さに驚いた。
セダンと違ってクーペにはエアサスの設定はなく、E550クーペはダイナミックハンドリングパッケージを含むAMGスポーツパッケージが標準装備される。
これは、全車に標準装備される走行状況に応じてダンパー内のオイル量を変化させて減衰力を調整するアジリティコントロールサスに加え、サスペンション、アクセルレスポンス、AT制御をノーマルとスポーツに切り替えるものだが、路面の継ぎ目を伝える粗さはなく、大きな衝撃もやんわりと吸収して嫌な余韻を残さないのは見事。ノーマルモードでも速度を上げていけば、それに合わせたものとなる。
ハンドリングは敏感過ぎず、正確でどっしりとした味わいのあるもの。むしろスポーツモードでは鋭すぎるという感じさえした。
エンジンは3.5L V6と5.5L V8の2種類。3.5L V6は市街地から高速まで全域においてトルクフルで、まさにこのクルマにピッタリと感じる。ただ、5.5L V8に乗ってしまうとその迫力ある排気音としっとり感、そしてアクセルを踏み込んだ時のパワーに惚れ惚れとしてしまう。いずれも手慣れたエンジンだけに、その熟成ぶりには文句はない。
もちろん、Eクラスクーペもセダン同様、様々な最先端安全機能、運転支援システムが装備される。詳細に紹介するスペースはないが、それらもEクラスクーペにゆったりとした走り味や安心感をもたらしているのだろう。
優雅で贅沢なクルマである2ドアクーペの魅力が、Eクラスをベースとしたコンセプトとすることで見事に実現されている。(文:Motor Magazine編集部 松本雅弘/写真:堀越 剛)
メルセデス・ベンツ E350クーペ(右/左) 主要諸元
●全長×全幅×全高:4705×1785×1395mm
●ホイールベース:2760mm
●車両重量:1670kg
●エンジン:V6DOHC
●排気量:3497cc
●最高出力:200kW(272ps)/6000rpm
●最大トルク:350Nm/2400-5000rpm
●トランスミッション:7速AT
●駆動方式:FR
●10・15モード燃費:9.1km/L
●タイヤサイズ:235/45R17
●車両価格:860万円(2009年当時)
メルセデス・ベンツ E550クーペ(左) 主要諸元
●全長×全幅×全高:4715×1785×1395mm
●ホイールベース:2760mm
●車両重量:1730kg
●エンジン:V8DOHC
●排気量:5461cc
●最高出力:285kW(387ps)/6000rpm
●最大トルク:530Nm/2800-4800rpm
●トランスミッション:7速AT
●駆動方式:FR
●10・15モード燃費:7.7km/L
●タイヤサイズ:前235/40R18、後255/35R18
●車両価格:1095万円(2009年当時)