2009年、マセラティのグラントゥーリズモシリーズに4.7L V8エンジンと6速トルコンATを組み合わせた「S オートマチック」が追加設定された。「刺激と快適」はどんなドライビングプレジャーをもたらしたのか。ここでは国内での試乗テストの模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2009年10月号より)

SPORTスイッチを押すと解き放たれる官能的サウンド

試乗コースを高速道路、そしてワインディングへと移した。ここでセンターコンソールに用意されている「SPORT」スイッチを押し、アクセルペダルを深く踏み込んだ。すると、3000rpmを超えると明らかに豹変したV8のエキゾーストサウンドが耳に飛び込んでくる。気がつくと、自然とオーディオのスイッチに手が伸びオフにしていたようで、聞こえてくるのは官能的なサウンドのみだ。

画像: 明るいベージュカラーのインテリアは新鮮。ボーズサウンドシステム、ウッドステアリングはオプション。

明るいベージュカラーのインテリアは新鮮。ボーズサウンドシステム、ウッドステアリングはオプション。

このSPORTモードでは、その他にシフトタイミングや加速時のレスポンス、スタビリティコントロールのマップも変更される。これだけ違うと、さきほどまでとはまったく違ったクルマに乗っているような感覚になる。前言撤回、やはりクルマの気持ちに応えるようにアクセルペダルを踏み込んでみる。

低速域での快適な乗り心地は前述したが、高速域になってもコンフォートさに変化は感じられなかった。これはショックアブソーバーの減衰を無段階に電子制御するスカイフックサスペンションの恩恵も大きい。そして、余裕あるパワーによって、ドライバーがアクセルペダルさえ踏み込めば、どこまでもストレスなくつき進んでいくのだ。

ワインディングでは、大柄なボディからは想像できないほどシャープな動きを見せる。ハンドルを切ったらボディがスッと動き、ドライバーの意思が瞬時にクルマに伝わる。これほど扇情的なクルマにはなかなか出会えない。「もっと速く」、「もっと鋭く」といった声がクルマから聞こえてくるようだ。

リアシートにも座ってみた。フロントシートにイージーエントリーシステムが搭載されているため、後席へのアクセスは困難ではない。さらに、フル4シーターを謳うだけあって、シートは左右独立していて大人がゆったりと座ることができる居住スペースをしっかりと確保していた。アームレストも大きく、カップホルダーや収納なども用意されている。これなら長距離を4人で移動しても、後席のパッセンジャーから不満がでることはないだろう。

最後にインテリアにも触れておこう。グラントゥーリズモSオートマチックにもグラントゥーリズモS同様にインテリアを自由に選択できるパーソナリゼーションプログラムが用意され、幅広いリクエストに応えられるようになっている。

さらに、ダッシュボード中央には7インチディスプレイのマルチメディアシステムが装備され、ナビゲーションシステムのほか、オンボードコンピュータ、オーディオなどの情報を表示することができる。まさに至れり尽くせりの空間だ。(文:Motor Magazine編集部 千葉知充/写真:島村栄二)

マセラティ グラントゥーリズモS オートマチック 主要諸元

●全長×全幅×全高:4885×1915×1355mm
●ホイールベース:2940mm
●車両重量:1950kg
●エンジン:V8DOHC
●排気量:4691cc
●最高出力:323kW(440ps)/7000rpm
●最大トルク:490Nm(50.0kgm)/4750rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:FR
●EU総合燃費:6.6km/L
●タイヤサイズ:前245/35ZR20、後285/35ZR20
●車両価格:1665万円(2009年当時)

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