「第5のベントレー」は、史上最上級のグランドリムジンとして誕生か
正式発表の2022年5月10日(BST:英国夏時間で12時30分)を前に、公表された画像は2点のみ。同じインテリアの一部を少しだけ広めに切り取ったことで、特徴的なシートの存在が明らかになった。ベントレーが「エアライン シート」と呼ぶ後席用のラグジュアリーシートだ。

公開された画像に映る「ベントレー エアライン シート」は22ウエイの調整機構を備えるとともに、6つのゾーンで177ものポイントでのフィッティング調整が可能になっている。最適な乗車姿勢を確保しながら、進化したクライメートコントロールを初搭載。快適性についても常に、もっとも心地よく制御してくれるようだ。
現行ラインナップの中からサイドウインドウの形状を検証してみると、ベンテイガとよく似ている。もしかすると、かねてからその派生モデルとしてデビューが確実視されていたロングホイールベース仕様(ミュルザンヌ以来の伝統に則れば「エクステンデッド ホイールベース」仕様と呼ぶべきか)なのかもしれない。
プロトタイプと思しき車両の公道テスト風景が一部にスクープされたのが、2020年だった。確かに「LONG − AWAITED −(長きにわたって待望されていた)」というキャッチフレーズもうなづける。
スタンダードなベンテイガと比べてみても、リアウインドーの「長さ」は明らかだ。その伸び代は2022年5月5日現在まだ明らかにされていないが、現状(W12 スピード)の全長5144mm、ホイールベース2995mmを仮に、フライングスパー級の5316mm、3194mmまでストレッチしているとすれば、およそ200mm分のゆとりが後席空間に生まれている計算になる。
ちなみにこのサイズ感は、ロールス・ロイス カリナンの全長5340mm、ホイールベース3295mmにかなり近いものになる。

ベンテイガのリアシート。特徴的なCピラーなどが、「第5のベントレー」に共通している。上のエクステンデッド仕様と比べると、ウインドーの前後長の差がわかるだろう。

2016年に発表された「ザ・グランド・ベントレー」、ミュルザンヌ エクステンデッド ホイールベースのリアシート(オプションで「エアライン・スタイル シート」が設定されていた)。スタンダードモデル比で250mmレッグルームを拡大。ドアトリムなどの特徴的デザインだけでなく、ノイズ吸収性能を高めたタイヤによる静粛性向上など、比類なきコンフォート性能を実現していた。
かつてミュルザンヌのエクステンデッド ホイールベース仕様車は「The Grand Bentley(ザ・グランド・ベントレー)」の異名で最上級のグランドリムジンの地位を確立したが、第5のベントレーはまさに、SUV全盛のこの時代にふさわしい極上リムジンとして誕生するのかもしれない。もちろん今のところ、すべては推測(というより期待?)に過ぎないけれど。