2009年3月に行われたジュネーブショーにコンセプトカーとして出展された「5シリーズグランツーリスモ」が、同年9月、ドイツで正式デビューを果たした。まったく新しいスタイルの5ドアモデルで、投入された最新テクノロジーも見どころ満載。今回は登場間もなくポルトガル・リスボンで開催された国際試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2009年11月号より)

セダンでもなくSAVでもない、BMWの新しい提案

ポルトガルのリスボン空港に迎えに来たのは、今回登場した新ジャンルのモデル、530dグランツーリスモだった。そのまま後席に乗せられ、女性のショーファードリブンでホテルに向かう。

画像: 5シリーズグランツーリスモのインテリア。3グレードすべて8速ATを採用する。535iグランツーリスモは、0→100km/h加速6.3秒、最高速250km/h(リミッター)のパフォーマンスを発揮。

5シリーズグランツーリスモのインテリア。3グレードすべて8速ATを採用する。535iグランツーリスモは、0→100km/h加速6.3秒、最高速250km/h(リミッター)のパフォーマンスを発揮。

ルーフ後部が低くなったクーペスタイルなので後席の居住性は期待していなかったが、意外なほどヘッドクリアランスがあり、十分なレッグスペースも確保されている。レッグスペースは7シリーズ、ヘッドクリアランス(991mm)はX5並みだそうだ。

後席にもオプションで電動シートが用意される。後席左右のモニター画面を見ながらiDriveが操作できるリモートコマンダーがアームレストに内蔵されている。

電動シートのスイッチはラゲッジルーム側にもあり、左右独立してリモートコントロールで動かせる。これは荷室の広さを変えるときに使うもので、バックレストを倒したり、垂直にしたり、ホームポジションに戻すこともできる。

5シリーズ グランツーリスモは、セダンとツーリングという2つのボディタイプに、新たに加わったユニークなデザインのモデルだ。セダンでもなく、SAVでもない、ロングツーリングが得意なBMWが提案する新しいカテゴリーである。

予備知識などなくても伝わる、BMWならではの個性

5シリーズという名前が付いているが、サスペンションとシャシは7シリーズがベース。3070mmのホイールベースと前1611mmのトレッドは7シリーズのショートボディと共通だ。ホイールオフセットによりリアのトレッドが4mm拡大しているだけである。

画像: 2通りの開閉が可能なテールゲート。セダンのトランクルームのように使ったりすることもできる。

2通りの開閉が可能なテールゲート。セダンのトランクルームのように使ったりすることもできる。

ではなぜ5シリーズという名前なのか。それはこのシャシを、来年モデルチェンジする予定の新型5シリーズが採用するからだ。現行5シリーズに加わったのではなく、次世代5シリーズの第一弾と考えた方がわかりやすい。

エクステリアデザインは前方へ傾斜したキドニーグリルがレトロチックではあるが、ボンネットが長くシルエットを新鮮にしている。4ドアモデルでフレームレスのサイドウインドウはBMWでは初めて。

4灯丸ライト、サイドのキャラクターライン、ホフマイスター・クニック(昔のBMWデザイナー、ホフマイスター氏が最初に考え出したCピラーの角のこと。クニックとはバレーなどで膝を折って挨拶するドイツ語だが、その足の曲がりに似ているのでこう呼ばれている)、L字型テールランプなどから、予備知識がなくてもBMWとわかるのはいつも通りだ。

グランツーリスモに搭載されるエンジンは、ガソリン4.4L、ツインターボ600Nmの550i、新型ガソリン3Lツインスクロールターボ400Nmの535i、それに540Nmを発生する3Lディーゼルターボの530dの3種類である。すべてユーロ5排出ガス規制値をクリアする。 

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