天下一品の乗り心地、その名のとおり長距離が得意
試乗したモデルは535iグランツーリスモ。これまでは1／2／3気筒と4／5／6気筒にそれぞれターボを付けたツインターボだったが、新エンジンはシングルターボになった。2つの口から1つのブレードに排気を噴き出している。
新ジャンルとなる5シリーズグランツーリスモだが、L字型LEDテールランプなどのアイコンを各所にちりばめるため、予備知識がなくてもBMWとわかる。
この分アクセルレスポンスは悪くなるが、バルブトロニックの採用でレスポンスが向上するので結果的に悪くなっていない。直噴＋ターボ＋バルブトロニックという3種の神器を備えた新しいエンジンは、1200〜5000rpmまで400Nmを発揮し、より低燃費で、よりCO2の排出を少なくしている。
今回ハンドルを握ったのは535iのインテグラルアクティブステアリングあり／なしの2台だ。リアもステアする4WSによって、ワインディングロードでも安定感を保ちつつハンドル角は小さくてすみ、535iグランツーリスモをスムーズに、しかも軽快に走らせてくれる。
なにより驚いたのはその快適性だ。室内の静粛性は高いし、振動・乗り心地の良さはロールスロイス並みといっても言い過ぎにはならない。身構えるような石畳の道をまろやかにいなしてしまうからだ。そのときのロードノイズも驚くほど聞こえてこなかった。ボディに対する入力がソフトで小さいだけでなく、ばね上の揺れが小さいことがロールスロイス並みと感じるのだ。7シリーズに採用した3室構造のダンパーも貢献しているのだろう。
グランツーリスモはその名の通り、長距離ドライブをしてみたくなるクルマだ。日本での発売は2010年2月を予定しているが、新しいジャンルのクルマで現行車と競合しないから、発売前にお披露目されるだろう。（文：こもだきよし）
BMW 535i グランツーリスモ 主要諸元
●全長×全幅×全高：4998×1901×1559mm
●ホイールベース：3070mm
●車両重量：1940kg
●エンジン：直6DOHCターボ
●排気量：2979cc
●最高出力：225kW（306ps）／5800rpm
●最大トルク：400Nm／1200-5000rpm
●トランスミッション：8速AT
●駆動方式：FR
●EU総合燃費：11.2km／L
●タイヤサイズ：245／45R18
※EU準拠
