「ついでに立ち寄る」のが正しい楽しみ方、かも
クルマ系の展示イベントといえば様々あるが、「クルマを見る」ために行くモーターショーやオートサロンなどとは、ちょっと違う。今回、JR大阪駅前に誕生した人気スポット、グランフロント大阪 うめきた広場で開催された「EV&SDGsフェア」は、どちらかと言えば「ついでに立ち寄ってみた」系の来場者が多かったように思える。
要は、再開発で一気に若返りが進んだ「キタ」の人気スポットを、たまたま通りかかって興味を惹かれた、という感じだろうか。それでも誘引したのはもちろん、そこに並んだクルマたちの「カッコ良さ」に他ならない。
あるいは、時ならぬ人だかりができているのを見て、「なんだか面白そう」だと思ってくれただけかもしれないけれど。「入口=きっかけ」はどうであれ、そんな出会いから始まる「縁」は、きっとある。
シンプルにカッコいいクルマが欲しい、という思いが「カッコいい電気自動車もいいね」にシフトしてくれたなら、こうしたイベントを開催した甲斐もあったというものだ。訪れた人たちが、おおよそEVだとかPHEVだとかいった機構の特別感など関係なしに、「これなら乗ってみたいかも」と思ってくれたとしたら、まさに僥倖である。
今もっとも贅沢なファミリーSUVの電気自動車版
そんな「カッコいい」クルマたちの中で注目され、個人的にもとくに興味を惹かれた1台がメルセデス・ベンツの電気自動車ブランド メルセデスEQの「EQB」だった。日本での一般公開は、これがはじめて。実用性にも富んだメルセデス・ベンツの筆頭モデル「GLB」をベースとするEVだ。
「実用的なクルマ」と言うと無骨な形を思い浮かべるかもしれないが、EQBの実車は写真で見る以上にスマートでスタイリッシュなものだった。基本のフォルムはGLBだが、わずかに全長が伸びやか(+50mm)で、グリルレスのフロントマスクなどのアレンジによって内燃機関モデル以上に洗練された雰囲気が漂って見える。
極めつけと言えるのが、3列シートを設定しながらも全長4684×全幅1834×全高1701mm(ホイールベース2829mm)という小ぶりなサイズに収めたパッケージングの妙だろう。駆動用バッテリーはフロア下に配置されているが、大人も座れる空間的なゆとりをしっかり備えている。
アレンジの多様性も備えた3列シート、495~1710Lに達するラゲッジスペースのゆとりなど、ミニバンも真っ青のユーティリティを備えている。ラグジュアリーだけどファミリーにもぴったりのマルチタレントぶりは、使える上級EVを探している向きには見逃せない1台と言える。