2022年6月17日、スバルは米国のベル・テキストロン社と共同開発したヘリコプター、「スバル ベル(SUBARU BELL)412EPX」を、国土交通省 中部地方整備局から受注した。納入は2024年を予定している。

災害発生時の情報収集や各種調査などに活用

スバルが自動車製造だけでなく、そのルーツである「中島飛行機」の技術とスピリットを航空宇宙カンパニー部門が受け継ぎ、旅客機の部品やヘリコプターの開発および製造なども行っていることは、すでに当Webモーターマガジンでも紹介してきた。

画像: スバルがベル・テキストロン社と共同開発を行った412シリーズの最新型機「412EPX」。

スバルがベル・テキストロン社と共同開発を行った412シリーズの最新型機「412EPX」。

スバル ベル 412EPXは、スバルが米国のベル・テキストロン社と共同開発を行った412シリーズの最新型機だ。過酷な運航条件の下でも高い信頼性を誇り、警察、消防、防災などの用途を中心に世界各国での展開を見込んでいる。

今回受注した国土交通省 中部地方整備局では、風水害・地震等の災害発生時における情報収集やTEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊)の活動、平常時における各種調査に活用される見込みだ。

さらなる輸送能力と運航効率の向上を提供

スバル ベル 412EPXは、412シリーズのパフォーマンスと安全性を向上させ、これまでも民間機市場で高い評価を得ていた実用性と信頼性を維持しつつ、より多くの機能を提供する。新たな特徴としては、より頑丈なメインローターギアボックス、ドライラン(オイル切れでも飛行可能)機能の追加、最大全備重量(機内搭載時)の増加(1万2200ポンド=5534kg)、マストトルク11%向上(速度60ノット以下)、などがあげられる。

画像: 量産初号機が初飛行を実施した、陸上自衛隊向けの「UH-2」。

量産初号機が初飛行を実施した、陸上自衛隊向けの「UH-2」。

中部地方整備局が現在所有するベル 412EPと共通性があることから、保有する設備を有効活用するとともに、スムーズな導入・移行が可能。加えて、出力向上により運用範囲が拡大したことや、積載可能重量の増加等の性能改良によって、さらなる輸送能力と運航効率の向上を提供する。

スバルでは、この412シリーズの機体を共通プラットフォームに、陸上自衛隊向けの仕様を織り込んだ「UH-2」も開発・製造を行い、2022年5月には量産初号機が初飛行を実施した。

412EPXに関しては、今後も製造および販売に加え、部品の供給や定期整備などのアフターサポートを行っていく。

■スバル ベル 412EPX 主要諸元

●全長:17.1m(胴体長:13.1m)
●全高:4.6m
●ローター直径:14m
●空虚重量:3091kg
●乗員+乗客数:1+14名
●キャビン容積:6.2立方メートル
●燃料タンク容量:1251L
●最大速度:259km/h
●最大巡航速度:228km/h
●航続距離:669km
●最大飛行時間:3.8時間

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