2018年に6世代目として日本へ導入されたフォルクスワーゲン ポロは、Bセグメントのベンチマークとして高い評価を獲得している。そのポロがマイナーチェンジした。新型はどのように進化したのだろうか。本誌執筆陣10人の評価を聞いてみた。(Motor Magazine 2022年8月号より)

「そつ」がなく、総合点の高いクルマ

仮にこのクルマをひと言で表せといわれたなら、「そつ」というものがどこにも見当たらない出来のいいコンパクトカー、とお答えする。

というと、出来はいいけど飛び抜けたところのない平均主義的なクルマのようにも受け取られかねないが、そういうわけじゃない。さまざまな要素のひとつひとつが結構なレベルにあって、尖ったところやへこんだところというのが見えにくい、総合得点の高いクルマ、と考えていただいて間違いはない。

車体がカッチリしてる。だから脚がよく動いて乗り心地も十分に快適といえるレベルにある。だから素直にすっきりとよく曲がるし、しっかりとした安定感のある粘り腰を見せる。

1L 3気筒TSIエンジンは、ゴルフのようなマイルドハイブリッド機構は持たないものの、ゼロ発進の段階から排気量が嘘であるかのような力強さを発揮するし、速いとまではいわないがまったく不満のないスピードの伸びを示してくれる。初代やゴルフⅡを知る世代にとっては「こっちの方がゴルフでしょ」と感じられる、絶妙なサイズもいい。

画像: リアシートは6対4の分割可倒式を採用。

リアシートは6対4の分割可倒式を採用。

もちろんそれらは2018年にデビューしたマイナーチェンジ前のモデルに共通する魅力的な要素ではあるのだが、誕生からこれまでの間にアナウンスされないような細かな改良が無数に行われてきて、新型ではしっかり熟してる感じが強いのだ。

パワートレーンが最新世代になったことを除けば仕様書きに何ひとつ記されてないが、現行ゴルフのワイド&ローなイメージに寄せたデザインよりも、ゴルフほどではないがデジタル化が進んだコックピットまわりよりも、個人的には、その数値に表れない部分が深みを増した印象の方が強かった。実用ハッチとして絶賛できるほどなのだ。

めくるめく刺激のようなものはどこにもないが、穏やかで心健やかな日々の相棒としてもっとも優れたコンパクトカーを望むなら、段トツでコレだ。その分、高価ではあるけれど。(文:嶋田智之/写真:井上雅行)

画像: モータージャーナリスト嶋田智之氏。

モータージャーナリスト嶋田智之氏。

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