独自のハイブリッドシステム「Eテック ハイブリッド」で電動化を進めるルノー。そのシステムはアルカナ、ルーテシアに続き、キャプチャーにも導入される予定だ。そして2022年には根強い人気を誇るカングーの新型登場も控えている。(Motor Magazine 2022年9月号より)

電動化はBEVだけじゃない。ハイブリッド車という選択

EU加盟国から選出された議員で構成される欧州議会が2035年以降の内燃機関搭載車の新車販売を事実上禁止する法案を可決するなど、もはやなりふり構わぬ力技でエンジンを排除して行こうという雰囲気すら漂うのが最近のヨーロッパの動向。

画像: フルハイブリッド搭載で軽快に走るコンパクトハッチ「ルノー ルーテシア Eテック ハイブリッド」。スタイリッシュなBセグメントハッチバック、ルーテシアにハイブリッドシステムを搭載したEテックハイブリッドが登場。持ち前の走りの良さに加えて、25.2km/L(WLTCモード)という低燃費を実現する。さらに専用装備としてレーンキープアシスト(車線逸脱防止支援)を標準装備するなど運転支援システムも充実。また、レザーシート(シートヒーター付き)を装備したパッケージオプションも設定された。(New 2022年6月30日 日本発売)

フルハイブリッド搭載で軽快に走るコンパクトハッチ「ルノー ルーテシア Eテック ハイブリッド」。スタイリッシュなBセグメントハッチバック、ルーテシアにハイブリッドシステムを搭載したEテックハイブリッドが登場。持ち前の走りの良さに加えて、25.2km/L(WLTCモード)という低燃費を実現する。さらに専用装備としてレーンキープアシスト(車線逸脱防止支援)を標準装備するなど運転支援システムも充実。また、レザーシート(シートヒーター付き)を装備したパッケージオプションも設定された。(New 2022年6月30日 日本発売)

それに呼応をするように、近い将来の「ピュアEV専業化」をほのめかすブランドも少なくない中で、それらとは一線を画す戦略を表明しているのが、フランスの大手メーカー「ルノー」とその子会社である「アルピーヌ」だ。

CEOであるルカ・デメオ氏による「自動車の製造から廃車に至るまでのライフサイクル全般でのCO2排出量は、ハイブリッド車や代替燃料車の方が少ない可能性がある」という趣旨の発言にも見られるような、ピュアEVの過剰なまでに急進的促進に慎重な姿勢は、傘下のブランドまでを考慮すると先進国の富裕層だけをターゲットとするのではなく、新興国をも対象とした幅広い顧客層を持つこのブランドならではの事情も大きく関係していそうだ。

事実、前出のようにピュアEV専業化への移行を表明するのは、どれもいわゆるプレミアムブランドに限られるのが興味深い点だ。

実際、新興国の片田舎の隅々にまで充電網を張り巡らすなどというのは短期的にはとても無理難題と思える事柄で、欧州市場に向けてはすでに複数のピュアEVモデルをローンチする一方、ここに来て新たなストロングハイブリッドモデルの展開にも積極的なこのブランドの戦略は、だから極めて現実的で理にかなったものと理解ができる。

「飽食」の日本市場に向けて、多種多彩なラインアップを導入

日本導入モデルの中で電動化が完了しているのは、システム内にドッグクラッチを用いた構造を備えることから、F1マシン用テクノロジーとの関連性もアピールする独自のハイブリッドシステムEテック ハイブリッドを搭載した「アルカナ」と「ルーテシア」だ。

画像: アルカナ、ルーテシアに続き<Eテック ハイブリッド>を搭載「ルノー キャプチャー Eテック ハイブリッド」。ルノー、日産、三菱のアライアンスによって設計されたCMF-Bプラットフォームを採用するコンパクトSUVのキャプチャー。アルカナよりコンパクトな車体と力強いSUVスタイルが特徴で、Eテック ハイブリッド導入で選択肢が広がる。(Coming Soon 2022年内日本導入予定)

アルカナ、ルーテシアに続き<Eテック ハイブリッド>を搭載「ルノー キャプチャー Eテック ハイブリッド」。ルノー、日産、三菱のアライアンスによって設計されたCMF-Bプラットフォームを採用するコンパクトSUVのキャプチャー。アルカナよりコンパクトな車体と力強いSUVスタイルが特徴で、Eテック ハイブリッド導入で選択肢が広がる。(Coming Soon 2022年内日本導入予定)

ただし、電動化技術を採用する「Eテック」を称するモデルとしては、欧州向けにはピュアEVやプラグインハイブリッドモデルも設定されているものの、日本に対しては使い勝手なども考慮して、それらプラグイン(外部充電)を必要とするモデルの導入予定は当面ないようだ。

一方、商用ユースも意識したパッケージングながら、日本では新種の乗用モデルとして受け止められ、根強い人気を持っているのが「カングー」だ。ひと回りボディサイズを拡大した新型が本国では発表されており、2022年中には日本への導入がスタートしそうなことも興味深い。

さらに、メガーヌR.S.や2022年月にマイナーチェンジを敢行したアルピーヌA110など、走行性能に長けたスポーツモデルも独自の存在感を放つ。

数あるラインナップの中から「飽食」の日本市場で通用しそうなモデルが厳選して導入されている点が、このブランドのユニークなところと言えそうだ。(文:河村康彦/写真:ルノー)

画像: 軽量コンパクトなミッドシップスポーツカーが刷新「アルピーヌ A110」。2017年に復活した第二世代アルピーヌA110がマイナーチェンジ。グレード構成をベース、GT、Sに刷新し、GTとSに搭載される1.8L直4ターボエンジンの出力は300psに引き上げられた。GTとSは0→100km/h加速4.2秒という俊足さを誇る。(New 2022年1月14日 日本発売)

軽量コンパクトなミッドシップスポーツカーが刷新「アルピーヌ A110」。2017年に復活した第二世代アルピーヌA110がマイナーチェンジ。グレード構成をベース、GT、Sに刷新し、GTとSに搭載される1.8L直4ターボエンジンの出力は300psに引き上げられた。GTとSは0→100km/h加速4.2秒という俊足さを誇る。(New 2022年1月14日 日本発売)

ルノー カングー(本国仕様)主要諸元(タイトル写真)

●全長×全幅×全高:4486×1860×1808mm
●ホイールベース:2716mm
●車両重量:1616kg
●エンジン:直4DOHCターボ/直4DOHCディーゼルターボ
●総排気量:1333cc<ガソリン>/1461cc<ディーゼル>
●最高出力:75kW(100hs)<ガソリン>/85kW(115hp)<ディーゼル>
●最大トルク:200Nm<ガソリン>/270Nm<ディーゼル>
●トランスミッション:6速MT<ガソリン>/7速MT<ディーゼル>
●駆動方式:FF

ルノー ルーテシア Eテック ハイブリッド 主要諸元

●全長×全幅×全高:4075×1725×1470mm
●ホイールベース:2585mm
●車両重量:1310kg
●エンジン:直4DOHC+モーター
●総排気量:1597cc
●最高出力:67kW(91ps)/5600rpm
●最大トルク:144Nm(14.7kgm)/3200rpm
●メインモーター最高出力:36kW(49ps)/1677-6000rpm
●サブモーター最高出力:15kW(20ps)/2865-10000rpm
●メインモーター最大トルク:205Nm(20.9kgm)/200-1677rpm
●サブモーター最大トルク:50Nm(5.1kgms)/200-2865rpm
●トランスミッション:4速AT(エンジン)/2速AT<モーター>
●駆動方式:FF

アルピーヌ A110 主要諸元

●全長×全幅×全高:4205×1800×1250mm
●ホイールベース:2420mm
●車両重量:1110-1130kg
●エンジン:直4DOHCターボ
●総排気量:1798cc
●最高出力:185kW(252ps)/6000rpm<A110>
      221kW(300ps)/6300rpm<S、GT>      
●最大トルク:320Nm(32.6kgm)/2000rpm<A110>
       340Nm(34.6kgm)/2000rpm<S、GT>
●トランスミッション:7速DCT
●駆動方式:MR

ルノー キャプチャー Eテック ハイブリッド(本国仕様)主要諸元

●全長×全幅×全高:4224×1797×1576mm
●ホイールベース:2639mm
●車両重量:1564kg
●エンジン:直4DOHC+モーター
●総排気量:1599cc
●システム最高出力:69kW(145ps)
●システム最大トルク:146Nm
●トランスミッション:4速AT(エンジン)/2速AT(モーター)
●駆動方式:FF

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