シトロエン久々のフラッグシップモデル、「C5X」が日本上陸を果たした。そこで、C5Xのルーツとなる大型上級モデルの歴史をふり返りながら、C5Xの概要をフランス車に造詣が深い武田 隆レポーターが考察する。(タイトル写真は、上がCX、下がC5X)

シトロエン独特の世界観を再興するために生まれたC5X

プラットフォームはEMP2(ver.3)だが、同じものを使う他モデルと違って、リアサスペンションにトーションビームを採用。PHEVもFFなのでマルチリンク独立懸架の必要がなく、そのうえ荷室の広さも鍵となるので、スペース効率に優れたトーションビームを選択しているようだ。

画像: シックで落ち着いた雰囲気のC5Xのインテリア。日本人女性の柳沢知恵さんがカラーマテリアル プロジェクトマネージャーを務めた。

シックで落ち着いた雰囲気のC5Xのインテリア。日本人女性の柳沢知恵さんがカラーマテリアル プロジェクトマネージャーを務めた。

サスペンションにはプログレッシブ ハイドローリック クッション(PHC)を採用し、さらにPHEVでは電子制御可変式のアドバンストコンフォート アクティブサスペンションとなっている。いうまでもなくこれらは、かつてのハイドロニューマチックや、ハイドラクティブを想起させる技術。サスペンションにもシトロエン上級車の伝統が復活している。

タイヤも205/55R19という珍しいサイズだ。大径だが幅が細い。バネ下重量が軽く燃費も期待でき、乗り心地の点でも有利で、これは大きなウリとなる。幅広でロープロファイルのタイヤが文字どおり幅をきかしている中で、そんな傾向から脱却してスマートな技術を採用するのは、いかにもシトロエンらしい。

C5Xは、数値は未発表だがボディの空力も良さそうだ。CXは、空気抵抗係数「Cd」のフランス表記そのものを車名にしていた。DS19以来、空気抵抗を少なくし、むやみに大きいエンジンを積まずに走行性能を高めるのが、シトロエンの設計哲学であった。軽量化の技術であるFFにこだわったのも、その一環といえる。

そのうえで「魔法のじゅうたん」のようなサスペンションで、抵抗少なく、快適に、オートルートを高速で疾走する。そういった独特のシトロエンの世界観を再興するために、C5Xは生まれてきたといえそうだ。(文:武田 隆)

画像: ボディサイドの造形はCXと違ってタフでSUV的な雰囲気。テールゲートを持つのでワゴン的資質も有する。

ボディサイドの造形はCXと違ってタフでSUV的な雰囲気。テールゲートを持つのでワゴン的資質も有する。

This article is a sponsored article by
''.