ペース不足にトラブルも続出。トヨタはシーズン最悪の一戦に
今シーズン、ドライバーズ選手権&マニュファクチャラーズ選手権を独走中のトヨタが、まさかの惨敗を喫した。
アクロポリス・ラリーはスタート順の早いドライバーに不利なルーズグラベルラリーのため、トヨタにとって戦前から厳しい戦いになることは予想されていたが、いざラリーが始まってみるとGRヤリスのペースはまったく伸びなかった。
さらにはシーズン前半はほとんどなかったアクシデントやトラブルも頻発。スタートから低調なタイムに終始していたポイントリーダーのカッレ・ロバンペラは、土曜日にコースオフしてリヤタイヤをパンク、さらにはサスペンションも傷めて大きくタイムロス。
トヨタのワークス3台の中では最もスタート順がよく、金曜日は首位争いに絡んでいたエサペッカ・ラッピも、同じ土曜日に2番手走行中に燃圧トラブルでデイリタイア。
さらには日曜日には、エルフィン・エバンスまでがターボトラブルでストップするなど、終わって見ればトヨタのワークスの3台はいずれもトップ10圏外。唯一、こちらもスタートからペースの上がらなかった勝田貴元がなんとか6位で完走するのが精一杯だった。
トラブルフリーのヒョンデ、完勝で選手権逆転に望みつなぐ
今回はトヨタだけでなくMスポーツ・フォードにもトラブルが相次いだ。金曜日首位だったセバスチャン・ローブは土曜日にオルタネーターのトラブルでリタイア。やはり金曜日2番手と大健闘したピエール-ルイ・ルーベも土曜日にタイヤをパンクさせて脱落し、他の2台もそれぞれトラブルで後退した。
そんななか、深刻なトラブルに見舞われずに金曜日午後から一気にペースを上げたのがヒョンデだった。ラリー半ばでヌーヴィル、タナックが1-2体制を確立させると、土曜日の終盤にはソルドも加わって1-2-3体制に。日曜日も大過なくフィニッシュし、チーム史上初の表彰台独占を達成した。
これでヒョンデは3連勝となり、トヨタに大きく引き離されていたドライバーズ選手権ではタナックがロバンペラとの差を53点に、マニュファクチャラーズ選手権でも63点差と、挽回することに成功。残り3戦、トヨタの優位はまだ動かないものの安閑とはしてはいられない状況になってきた。
次戦第11戦ラリー・ニュージーランドは、9月29~10月2日、北島の中心都市オークランドを起点に開催される。
■2022年 WRC第10戦アクロポリス・ラリー・ギリシャ 結果
1位:T.ヌーヴィル(ヒョンデ i20 N ラリー1)3h34m52.0s
2位:O.タナック(ヒョンデ i20 N ラリー1)+15.0s
3位:D.ソルド(ヒョンデ i20 N ラリー1)+1m49.7s
4位:P.ルーベ(フォード・プーマ ラリー1)+3m42.2s
5位: C.ブリーン(Mスポーツ フォード)+4m09.0s
6位:勝田貴元(トヨタ GRヤリス ラリー1)+6m21.1s
7位:E.リンドホルム(シュコダ ファビア ラリー2 エボ)+7m46.6s
8位:N.グライジン(シュコダ ファビア ラリー2 エボ)+8m22.7s
9位:A.ツォロフタス(フォルクスワーゲン・ポロGTI R5)+10m53.8s
10位:E.ブリニルドセン(シュコダ ファビア ラリー2 エボ)+10m56.7s
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15位 K.ロバンペラ(トヨタ GRヤリス ラリー1)
22位 E.ラッピ(トヨタ GRヤリス ラリー1)
リタイア E.エバンス(トヨタ GRヤリス ラリー1)
■2022年 WRCドライバーズランキング(第10戦終了時)
1位 K.ロバンペラ(トヨタ) 207
2位 O.タナック(ヒョンデ)154
3位 T.ヌーヴィル(ヒョンデ)131
4位 E.エバンス(トヨタ)116
5位 勝田貴元(トヨタ)100
6位 C.ブリーン(Mスポーツ フォード)77
■2022年 WRCマニュファクチャラーズランキング(第10戦終了時)
1位 トヨタ 404
2位 ヒョンデ 341
3位 Mスポーツ フォード 214