順風満帆と言える好業績を記録した2021年のポルシェ。そして、その利益率をさらに高めるべくBEVモデルの台数アップ、高級SUVの追加といった戦略が練られている。マカンeの予想CGは、極めて自然な姿だろう。そして、911にも新顔が追加される。(Motor Magazine 2022年10月号より)

基幹モデル911の改良ではオフロード仕様登場と電動化

19年から発売されている992型911は、23年にフェイスリフトを受ける。フロントに可変式縦型エアフラップが装備されるのが特徴で、「ダカール」あるいは「サファリ」と名付けられるオフロードバリエーションの登場も予想されている。ポルシェは早くから911の4WD化の可能性を探っており84年にはタイプ953がパリダカールラリーで優勝、その後959として限定販売された。

画像: ニュルブルクリンクでテストを行う2台の新型911。ハイブリッド版(黄色ステッカー付き)とオフロード版である。

ニュルブルクリンクでテストを行う2台の新型911。ハイブリッド版(黄色ステッカー付き)とオフロード版である。

このオフロードバージョンはすでにニュルブルクリンクで走行テストが行われているが、標準型911と比べるとホイールアーチの隙間が大きく、車高も高いのがわかる。ベースはカレラ4Sとなる可能性が高い。外観では、高められた車高にホイールハウスの樹脂製マッドカバー、固定式リアウイングなどが特徴となるはずだ。

さらにハイライトは、911ハイブリッド仕様の登場である。その開発指針は、22年から導入されるモータースポーツレギュレーション「LMDh(ル・マン&デイトナ耐久レースカテゴリー)」となる。
エンジンの出力は470kW(640ps)、ボッシュ製の電気モーターは50kW仕様で、もちろんパフォーマンス優先により最高出力は700ps、最大トルクは1000Nmに達するはずだ。

現在ニュルブルクリンクでテストしている911ハイブリッドはターボのボディを纏っているので見た目だけではわからないが、リアウインドウの黄色いステッカーがその正体を明かしている。これはニュルブルクリンクテスト走行時の安全規定で、駆動用の大容量バッテリーを搭載している証だ。ちなみにオール電化911の登場は、早くて26年と噂されている。

最後に会長が力を入れているeフューエルについても言及しておこう。現在、南米のチリでパイロットプラントの建設計画が進められている新燃料は、大気中のCO2を吸収して生成するのでICEで使用してもカーボンニュートラルという結果になる。

それゆえに現在、生き残っているクラシックポルシェも問題なく使用可能となるはずだ。さらにポルシェが26年から参戦予定であるF1の規定では搭載されるICE燃料は100%サスティナブルであるべきとなっており、この意味でもeフューエル開発の正当性が認められる。

ポルシェの近未来戦略はこれまでになかったほどの速度で、しかも確実に進んでいるのだ。(文:木村好宏/CG&写真:キムラ・オフィス)

This article is a sponsored article by
''.