現行モデル発表日:2018年10月24日
車両価格:599万円〜715万円
LSの脅威になるほど快適な走りと乗り心地
レクサス4ドアセダンのラインナップで唯一のFFモデル。ESとして日本で発売されたのは現行型が初めてとなる。プラットフォームは大型FFモデル用のGA-Kを採用し、パワーユニットはカムリと同じ構成の2.5L直4NA+モーターのハイブリッドのみのラインナップとなる。デジタルアウターミラーの設定も話題を呼んだ。
2022年7月の改良で、エクステリアは、押し出しを強調し質感の向上を図ったフロントグリルをはじめ、鋭い表情を表現したヘッドランプや、高級感を増したデザインのホイールなどにより、存在感が際立って映る。
新色を採用したインテリアも、より落ち着いた雰囲気がありながらもモダンな空間へと進化している。オーナメント加飾の新しい色合いやヘアライン加飾の加工方法なども非常に凝っていて感心する。このあたりは価格帯の近い欧州プレミアム勢をも圧倒的に凌駕する、といっても過言ではない。
FFの強みを生かした広々とした室内空間、とくに後席の足もとの広さと開放的な室内空間は旗艦モデルのLSにも引けをとらない。駆動用バッテリーを後席下に配置することでスペースを最大限に確保したトランクも使いやすい。電源コンセント(AC100V・1500W)も備えていて重宝する。
もともとESの走りは悪くなかったが、リアサスペンション メンバーブレースの剛性向上、ブレーキ関連の見直し、静粛性の向上といった今回の改良による上がり幅は小さくなかった。従来も操舵力が軽く乗りやすかったものの、中立付近がやや曖昧で、修正舵を要するシーンが多いように感じていた。新型は動きは穏やかなまま位相遅れが払拭されて一体感が増し、本当の意味で乗りやすくなった。
乗り心地もしなやかさを保ちながらフラット感がより高まった印象を受ける。このあたりは独自のスイングバルブ ショックアブソーバーや、バージョンLには標準装備されるハイパフォーマンスダンパーの効果に違いない。静粛性もさらに高いレベルに達していて、路面の凹凸を通過したときの衝撃音の抑え込みも巧い。乗員に不快感を与える要素を、徹底して排除しようという努力がうかがえる仕上がりだ。
ブレーキもシステム制御やペダルの形状の変更、リンク機構内の構造の見直しによりコントロール性とペダル横方向の剛性感が高められ、フィーリングが向上したように思えた。ADAS関連も大きく進化し、交差点における諸機能や低速時加速抑制機能、車線維持支援機能の車線認識性能の向上、カーブ速度抑制機能などさらなる充実が図られた。
デジタルアウターミラーも、カメラの性能向上により視認性を高めたという点は、レクサスの最新モデルらしく抜かりはない。ESがここまで良くなると、競合車はもちろん、むしろ身内のLSの脅威となるかもしれない。
レクサス ES 主要諸元
●全長:4975mm
●全幅:1865mm
●全高:1445mm
●ホイールベース:2870mm
●重量:1670〜1720kg
●エンジン:2.5L直4+モーター(システム最高出力:218ps)
●駆動方式:FF
●トランスミッション:8速AT
●WLTCモード燃費:22.3km/L
●乗車定員:5名