車両価格は安くない。でもコストパフォーマンスは抜群に高い
とはいえ、ホイールの径を見れば、わかる人には一発でわかってしまう。ボディ側面の中でホイールの占める割合が大きいからだ。大径ホイールを履くことも関係してか、同業の友人の中にはSQ2のタウンスピードでの乗り心地について、「路面をコツコツと拾いがち」と評する人もいる。
(編集部註:写真の試乗車はオプションの「19インチアルミホイール+235/40R19タイヤ」を装着。標準装備は「18インチアルミホイール+235/45R18タイヤ」となる)
確かに一般道ではそういう側面もないわけではないが、僕は少しも気にならなかった。街中と郊外の一般道5割、高速道路4割、残り1割がワインディングロードといった感じの試乗だったのだが、高速道路に入ってさらに速度域が高くなれば、しっかり快適と感じられるレベルの乗り心地を味わえる。
スポーツサスペンションが組み込まれてるわりにはしなやかに感じられるし、しっかりと腰を据えた安定感を感じさせながら気持ちよく直進する。街中でも郊外の道でも高速道路でも、300psと400Nmを発揮する2直4ターボはかなりいい仕事をしてくれて、2000rpmから5200rpmまで絶え間なく400Nmの強大なトルクを発生し続けてくれる寛容な性格のおかげで、アクセルペダルをそっと踏んでいくだけでスルスルと加速し、余裕でクルージングできてしまう。
そうしたときのSQ2はとてもジェントルで、大人の包容力のようなものすら感じられるほど。常にリラックスしながらハンドルを握っていられるから、かなりのロングドライブでも疲れは少ないだろうと思う。
反面、ワインディングロードに突入すると、まるでスポーツカーのような走りっぷりを見せてくれるのだから素晴らしい。300psを5300rpmから6500rpmまで発生し続けるエンジンは、その領域まで素早くシャープに伸びていくし、どの回転域から踏み込んでも強力なトルクを発生する特性がここでも活きて、速さに不満を感じることがない。
最低地上高が205mmもあるくせに曲がることに関しても優秀で、もちろんQ2には設定のないクワトロシステムや操舵量で可変するプログレッシブステアリングの恩恵もあるのだろうけど、ちょっと驚くほどの速さであらゆる曲率のコーナーを走り抜けていく。フットワークだってかなりのものなのだ。
はたしてほかに、全長4.2m×幅1.8m程度のサイズのSUVで、ここまで欲しいモノを満たしてくれるモデルがあるだろうか? 620万円は安くはないが、コスパは抜群に高いと思う。(文:嶋田智之/写真:井上雅行)
アウディ SQ2 主要諸元
●全長×全幅×全高:4220×1800×1525mm
●ホイールベース:2595mm
●車両重量:1560kg
●エンジン:直4DOHCターボ
●総排気量:1984cc
●最高出力:221kW(300ps)/5300-6500rpm
●最大トルク:400Nm/2000-5200rpm
●トランスミッション:7速DCT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・56L
●WLTCモード燃費:11.6km/L
●タイヤサイズ:235/45R18(試乗車は235/40R19)
●車両価格(税込):620万円