プレミアムSUV「ジープ グランドチェロキー L」のラインナップに、新たに2列仕様の「グランドチェロキー」が追加された。短い全長×ショートホイールベースで取り回しのしやすさを売りとしているが、3.6L V6から2L直4ターボへのダウンサイジングにはやはり少々不安が残る。新世代ジープブランドのフラッグシップに加わった新たな「スタンダード」の価値を、チェックしてみた。
3.6Lから2Lへのダウンサイジング。しかしてその実態は?
「標準仕様のフラッグシップ」・・・というと、なんだか少々ややこしい。ので、まずは、ラインナップが増えた新型「ジープ グランドチェロキー」のヒエラルキーについて、軽くおさらいしておきたいと思う。
そもそも新型「ジープ グランドチェロキー」が「10年ぶりのフルモデルチェンジ」を謳って登場したのは、2021年12月のこと。ただしこの時、日本にお目見えしたのは3.6L 自然吸気V6ユニットを搭載する3列仕様の「グランドチェロキーL(エル)」のみだった。
だから今回、試乗した2L 直4ターボを2列仕様のショートボディに搭載する「Lがつかないグランドチェロキー」は、ブランドを代表するフラッグシップモデルでありつつも、ロングではなく「標準仕様」という位置づけで追加設定されている。
もちろん大排気量3列仕様の「L」の方が当然お高い。が、ベースモデルでの差はわずか15万円ほど(グランドチェロキーL Limited 3.6:907万円→グランドチェロキーLimited(ガソリンモデル):892万円)に過ぎないのが、少々不思議ではある。
だがスペックをよくよく見れば、搭載される2L 直4ターボが俄然、魅力的に思えてくることだろう。最高出力は272psと、V6に対して14psほど控えめなものだ。一方で最大トルクは1000rpm低い3000rpmで、約16%強力な400Nmを絞り出す。
車両重量は100kgほど軽いのだから、少なくとも実用領域での力強さは排気量的ヒエラルキーを覆してもおかしくない。と、思っていたら予想どおり。街乗りから首都高速レベルで、プレミアムSUVとして十二分なゆとりを感じさせる走りを楽しませてくれた。