BEV同士で電気の融通、車内取り残し防止システムも搭載
世の中の風潮に流されず、独自のポリシーを持って最先端を進んでいるのがボルボというメーカー
である。一般的にはまだクルマの安全性に対して関心の薄い時代からパッシブセーフティ、アクティブセーフティを追求してきている。ボルボのエンジニアであるニルス・ボーリンが3点式シートベルトを発明し、PV544に搭載したのは1959年のことだ。
そして誰もがこの技術の恩恵を得られるようボルボはその特許を無償公開したのである。これにより100万人以上と言われる、数多くの負傷者や死亡者を減らしたことは間違いない。
環境対策においてもボルボの高い基準は際立っていた。20世紀の終盤には、ボルボ車のエンジン
からの排出ガスが吸入する空気よりきれいになっていることをアピールしていた。もちろん、燃焼
後の空気からは酸素はないのだが、多くのフィルターや触媒を使うことで空気中の汚れを減らして
いるのである。
ボルボは2017年7月に電動化を宣言。2019年以降に発売するすべてのボルボ車に電気モーターを搭載すると発表した。ラインナップされるのはBEV、PHEV、MHEVで電気自動車以外はガソリンのPHEVか48VのMHEVになるというものだった。
2022年現在、これらは着実に実行に移され、2025年にはライフサイクルにおける1台当たりのCO2排出量を2018年比で40%削減すること、さらに2040年には製造から販売・サービスまでのバリューチェーン全体でクライメートニュートラルを実現することも発表されている。
そして11月にはEX90と呼ばれるボルボの新時代を告げるフラッグシップモデルが発表される。このEX90は、BEV同士で電気を融通し合えるという特技も備えている。
EX90に装備される新技術として、ドライバーの状況をモニターするシステムや車内のレーダーとカメラで車内に子供が取り残されないようにするシステムなどが盛り込まれている。ラゲッジルームも含むキャビン全体をカバーする車内レーダーは、乗員が取り残されないために新しく開発された乗員検知システムだ。
さらに2つの車内センサーと静電容量式ステアリングホイールからアルゴリズム情報が送られ、車
外センサーとも連動。眠気を催し、注意力が散漫になっている場合にはクルマが安全性を保つよう
にサポートする。
ボルボは安全と環境に関してBEVになってもトップランナーとして走り続けている。(文:こもだきよし/写真:ボルボ・カーズ)