CX-8の購入者は、3列目シートの安全性を重視している
マツダの3列シート SUV「CX-8」は、2017年に「ミニバンに代わる、マツダの新しい多人数乗用車」として発表された。CX-8が登場する少し前に、マツダはミニバンの製造販売を終了していた。CX-8は「多人数乗用車=ミニバン」という概念を打ち破り、SKYACTIVや魂動デザインによる新世代商品として、デザインや質感、走りにこだわったモデルとして登場した。
それから5年。商品改良を進めてきたCX-8は月平均1200台ほどをコンスタントに販売している。ユーザー層は40代以下で既婚・子どもありという、いわゆるファミリー層が中心だ。そしてユーザーの半数以上は5名以上で乗車する機会が多く、2列目はもちろん3列目の乗り心地も重視しているという。
今回の一部改良では、アウトドア志向のファミリー層に向けた「グランドジャーニー」や、スポーティなイメージを強調した「スポーツ アピアランス」といった特別仕様車を設定し、最上級グレードの「エクスクルーシブ モード」は装備を進化させるなど、そのラインナップの魅力を増幅している。
また、CX-8の購入者は、他車に比べて安全重視の割合が高いという。それは3列シートの安全性にもつながるのだが、マツダでは法規に加えて独自の基準を追加して開発している。日本国内の法規では、50km/hのフルラップ追突で、燃料漏れがなければ良いとされている。だがマツダでは、80km/hの70%オフセット追突で、燃料漏れがないことはもちろん、最後席の生存空間を確保し、非衝突側の後席ドアが人力で開くことを基準としている。
この基準をクリアするため、CX-8ではリアフレームをまっすぐに配置した「ストレートフレーム構造」や、Cピラー下の二又構造を採用して、乗員空間をしっかりと守っている。もちろん、この安全性は今回の改良から採用されたものではなく、従来までのCX-8にも採用されている。
3列目シートの居住性は、Lサイズ ミニバンにはかなわないが、おとなが座っても思ったほど狭くはなく、子どもなら十分にくつろげる。2.2Lのトルクフルなディーゼルターボによるドライビングの楽しさは、ミニバンの比ではない。マツダの目論みどおり、CX-8はマツダ ユーザーにとってポスト ミニバンとなったようだ。