ジャン・レデレ工場から世界中のオーナーの元へ
イギリス海峡に面した港町ディエップにあるジャン・レデレ工場で迎えてくれたのは、アンヌ=キャトリーヌ・パセ工場長である。彼女はなんと1カ月前に工場長に就任したばかりだという。このジャン・レデレ工場の敷地面積7万6000㎡、約450人の従業員が働いており、その中の17%は女性であり、ルノーグループでは一番小さい工場である。
A110の生産が開始されたのは16年から。翌17年には117台、18年には3304台、19年には4239台と順調に生産台数を伸ばしたが、20年はコロナ禍の影響を受け1279台だった。しかし21年は3005台に復調、今年は、改良モデルが登場した効果もあり3500台を超え4000台に近づく予定である。ちなみに生産能力は、1日18台である。
2022年上半期の生産時の事故数はゼロ。安全やクオリティに自信を持っていて、最高の品質をオーナーに届けるという信念がある。さらに約束したA110の納期を100%守るのも、この工場のモットーなのだという。そして最終的には工場内にあるテストコースを9kmぐらい走り、オーナーのもとへ旅立っていくという。
ところでこの工場では2025年からアルピーヌの新しいBEVのクロスオーバーGTも生産する予定だ。そうなると現在の4〜7倍の生産量となり、BEVということもあり、大きなチャレンジだとアンヌさんは語ってくれた。
本格的にBEVの生産が始まったジャン・レデレ工場はどのように変わるか、とても興味深い。機会があればまた訪れてみたい。
BWT アピーヌ F1チーム拠点(ヴィリーシャンティオン)
BWT アルピーヌ F1チームのファクトリーも訪れた。
ここには3つの建屋があり、それぞれの場所で100近くのサプライヤーから届いた部品の組み立て検査、パワーユニットの設計、開発、組み付け、原材料チェック、電子部品の組み付けなどのほかにエンジンのテストベンチや、さらにF1グランプリ開催中に現地と同じデータを揃え、分析、さらには指示するオペレーションルームなどもあり、まさしくF1チームの中枢とも言える場所である。
ちなみにクランクシャフトは日本製だと教えてくれた。(文:Motor Magazine編集部 千葉知充/写真:アルピーヌ・ジャポン、千葉知充)