PPEプラットフォームはフレキシブルな使い方が可能
ポルシェはすでに次世代の電動化モデルを見据え、さまざまな開発テストを行っている。その現時点の進捗具合を紹介する「NEXTLEVEL E-PERFORMANCE」というワークショップが、イタリアのミラノ郊外にできたポルシェエクスペリエンスセンター・フランチャコルタで開催された。
ここでのメニューは、ポルシェのEモビリティ/718ケイマンGT4 eパフォーマンス同乗試乗/フォーミュラE「GEN3」/次期マカンが採用するPPEプラットフォーム/ゼロインパクトファクトリー/タイカンロングドライブと多岐にわたった。
まずはPPEプラットフォームだが、これは「プレミアム プラットフォーム エレクトリック」のことでポルシェのBEV、とくにSUVに採用されるものだ。すでに次期マカンはこのPPEを使うことが公表されいる。つまりPPEを使う最初のポルシェである。
さらに将来的には、マカンよりも大きなモデルへも採用されることだろう。具体的には、BEV化されるカイエンにも使われると予想される。ただし、そこまではポルシェ言及していない。
ポルシェは、2025年に新車の半分を電動化(BEV/PHEV)する目標を掲げている。さらにその先として2030年に新車の80%以上のBEV化を目標にしているが、その達成のために重要なのがこのPPEなのである。ただし、PPEはポルシェの立てた目標を達成するためのツールのひとつであると言う。
ワークショプで判明したBEVの新マカンは、タイカンと同様に800Vテクノロジーを採用し、最新世代の電気モーターを搭載、長距離を走ることができる100kWhのリチウムイオンバッテリーと高性能な急速充電機能を有するという。
トップモデルのシステム最高出力&最大トルクは450kW&1000Nm以上で、前後に電気モーターを搭載、前後重量配分は48対52を実現する。さらにマカンとしては初めてリアアクスルステアリングも採用される。こうしたことを知るにつれ、早く試乗してみたいという思いを強くした。
BEVのGT4による新たなワンメイクレースを検討中
718GT4 eパフォーマンスには同乗試乗ができた。このBEVのレーシングカーは、予選モードでは、800kW(1088ps)、レーシングモードでは、450kW(612ps)を30分連続で発生させることが可能だという。またラップタイムと最高速度は、タイプ992のGT3カップに匹敵するという。
2.5kmのメインコースを2周したが、そこではこれまでに経験したことのない加速力に圧倒された。実にエキサイティングな2ラップだった。
ポルシェは、このGT4 eパフォーマンスでのワンメイクレースを検討、今後2年間をかけてその可能性を模索するという。独特のeパフォーマンスサウンドでサーキットを周回する姿が3年後には見られるかもしれない。
2023年シーズンからフォーミュラEに参戦するポルシェの第3世代のマシン「99X Gen3」のプレゼンテーションも行われた。
このマシンは第2世代に比べ重量は53kg軽量化、出力は136ps向上、モーターもフロントとリアに搭載され、エネルギー回生は250kWから600kWに増えているという。これがスターティンググリッドに並ぶ姿を見られるのも、もうすぐである。
ポルシェはゼロインパクトファクトリーという目標も掲げている。これは2030年までにバリューチェーンも含めCO2ニュートラルを目指すというものだ。
具体的には、再生可能エネルギーや化学薬品の使用、廃水処理で水の消費量の削減、組み立てやボディ構造時の接着剤使用を減らすなどにより、ツッフェンハウゼンとライプツィヒ工場のCO2排出量を18年比で95%削減などが進んでいる。こうしたことの積み重ねにより、ツッフェンハウゼン工場だけでも、年間40万kW以上の電力を節約しているという。