スーパーカーといえば「ミッドシップの2シーター、エンジンはDOHCでV8以上。ただし、ほかに惹き付ける魅力があれば例外もあり・・・」というのがざっくりとしたイメージだろうか。1970年代半ばに大ブームが起きてから50年近くの歳月が流れ、そのイメージは少しずつ変わってきているようにも見える。本連載では1966年から現代までスーパーカーを並べていくので、変遷していくさまをお楽しみいただければと思う。【第9回はフェラーリ 365GTB/4 デイトナだ。】

フェラーリ 365GTB/4 デイトナ(1968-1973年)

画像: 全長4425×全高1245mm、ホイールベース2400mmを絶妙なバランスでウエッジシェイプにまとめたスタイルは、ピニンファリーナの傑作と言える。

全長4425×全高1245mm、ホイールベース2400mmを絶妙なバランスでウエッジシェイプにまとめたスタイルは、ピニンファリーナの傑作と言える。

フェラーリ 365GTB/4、通称「デイトナ」は、275GTB/4の後継車として1968年のパリ サロン(正式にはパリ モーターショーでデビューした。ここで通称と記したように、デイトナというのはこのクルマの正式な車名ではない。したがってクルマのどこにも「DAYTONA」といったエンブレムの類いは付けられていない。

1967年のデイトナ24時間レースでフェラーリは1-2-3フィニッシュを飾り、それを称えたメディアが付けた非公式なネーミングと言われている。だが今では、このクルマは正式車名よりもデイトナと呼ばれることが多いほど、すっかり定着している。

鋭いウエッジシェイプのデザインは、フェラーリの伝統に則りピニンファリーナが手がけたものだ。1971年にヘッドライトはリトラクタブル式に変更されるが、それ以前は4灯式ヘッドライトをプレキシガラス製カバーの奥にセットしており、そのカバーはサイドまで回りこんで車幅灯やウインカーと一体化していた。

画像: 北米市場をターゲットにするため、室内の仕上げも上質だった。長いシフトレバーとシフトゲートはフェラーリの伝統だ。

北米市場をターゲットにするため、室内の仕上げも上質だった。長いシフトレバーとシフトゲートはフェラーリの伝統だ。

デイトナはモデルとしては275の進化型にあたり、2本の大口径楕円チューブをクロスメンバーで繋ぎ、サブフレームでボディを支持するという旧世代フェラーリのシャシにV12エンジンを搭載するFRレイアウトを継承している。だが、このレイアウトを採用したのは、デイトナが最後のモデルとなる。

ロングノーズのフロントセクションに搭載されたエンジンは275の拡大版で、6基装着されたウエーバー製40DCN20キャブレターやドライサンプ方式、2基の点火コイルなどは、275から引き継がれたもの。エンジン/クラッチと、一体でリアにマウントされた5速マニュアルミッション/デフとをトルクチューブで繋ぐというトランスアクスル方式も、275から受け継がれた手法だ。

とはいえ性能は一流で、最高速度は280km/h、0→1000m加速は24秒(いずれも公称値)というパフォーマンスは、フェラーリのフラッグシップに恥じないものといえるだろう。1969年にはスパイダーのGTS/4を追加し、北米市場で大人気を博した。

画像: 北米市場に向けて開発された最後の古典的FRフェラーリ。写真はリトラクタブル式ヘッドランプの後期型。

北米市場に向けて開発された最後の古典的FRフェラーリ。写真はリトラクタブル式ヘッドランプの後期型。

フェラーリ 365GTB/4 主要諸元

●全長×全幅×全高:4425×1760×1245mm
●ホイールベース:2400mm
●重量:1200kg
●エンジン種類:60度V12 DOHC
●排気量:4390cc
●最高出力:352ps/7500rpm
●最大トルク:44.0kgm/3500rpm
●駆動方式:FR
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:215/70VR15

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