積極的に日本市場へBEVを投入しているアウディ。今回試乗したQ4 eトロンシリーズを加えるとすでに8車種をラインナップしているが、このあと2年でさらに7車種以上を追加投入予定である。PCAという独自の充電インフラも整備するこのブランドの最新&注目のBEVの行方を占う。(Motor Magazine2023年2月号より)

システム電圧400Vのテクノロジーを採用

ドイツに本社を置くアウディAGは「Vorsprung 2030」を表明。2033年以降は全モデルの販売を電気自動車(BEV)とする計画を発表している。日本市場でも24年までに15車種以上の電気自動車を日本市場に導入予定である。

画像: 始動は、スタートボタンを押すか、もしくはブレーキペダルを踏むことでイグニッションON状態にできる。

始動は、スタートボタンを押すか、もしくはブレーキペダルを踏むことでイグニッションON状態にできる。

ちなみに現在は、eトロン/同スポーツバック/eトロン GT/RS eトロン GT/eトロン S/同スポーツバックに加え、Q4 eトロン同スポーツバックの合計8モデルを揃える。予定では、今後2年であと7モデル以上となるわけだが、どのようなBEVが導入されるのだろうか。

さて、今回はQ4 スポーツバック eトロンに試乗した。以前、欧州仕様のハンドルを握ったことはあるが、日本仕様はこれが初めてである。ボデイは、Q5とQ3の中間ぐらい。このサイズのSUV + BEVを待っていた人も多いようで販売も好調のようだ。

デザイン的な特徴は、オクタゴンのシングルフレームグリルに開口部がなくひと目でBEVだとわかるものだ。さらにエアロダイナミクスも最適化され、電動開閉式エアアウトレット、垂直ディフレクター、立体的なホイールディフレクター、ドアミラーハウジングなどの効果によりCD値はQ4 eトロンが0.28、Q4スポーツバックeトロンが0.26となる。

パワートレーンは、システム電圧400Vのテクノロジーを採用、総容量82kWh(実容量77kWh)の駆動用リチウムイオンバッテリーをフロア下に配置、最高出力150kW、最大トルク310Nmを発生する電気モーターをリアに搭載し後輪を駆動する。ちなみに0→100km/h加速は8.5秒と公表されている。

インテリアは、上下にフラット部がある形状のステアリングホイールが目に入るが、そのほかにもセンターコンソールまわりが最新のデザインとなり、専用のシフターを装備している。

ただ、メーターまわりはこれまでのアウディモデルと大きな違いはない。メーターは10.25インチ、MMIタッチディスオプレイは11.6インチを採用し、これらでフルデジタルコックピットを構成している。

高い静粛性とペダル操作に忠実な動き。さすがBEVだ

走り出すとBEVらしいペダル操作に忠実な動きを見せる。室内の静粛性も高くアウディらしいクオリティの高さが感じられた。試乗グレードのアドバンスドはインチタイヤを装着するが、それを見事に履きこなしている。ドライブフィールは、過剰な演出もなく好印象。

画像: Q4 eトロンシリーズは写真のスポーツバックの他にSUVタイプも揃う。全グレードがリアに搭載したモーターが駆動するRWDだ。

Q4 eトロンシリーズは写真のスポーツバックの他にSUVタイプも揃う。全グレードがリアに搭載したモーターが駆動するRWDだ。

回生ブレーキの強さもパドルシフトで3段階から選べるため、エンジンブレーキのような使い方ができる。さらにアウディとしては初めてBモードも備え、BEVらしいワンペダルドラブフィールも味わえる。

ADASは、フロントカメラに加えボディ前後に中距離レーダーと超音波センサー、さらにボディ前後と左右ミラーに合計つの360度周辺環境カメラを内蔵するなど最新のものが採用されている。これによりアダプティブクルーズコントロールとアクティブレーンアシストを統合したアダプティブクルーズアシストや死角の車両を認識するアウディサイドアシスト、後方からの車両や自転車を認識する機能を搭載している。 

充電環境にも触れたい。アウディはポルシェとPCA(プレミアムチャージングアライアンス)を組み、ポルシェの150kW急速充電も使えることになり、その数は合計で102基になったが、これに先日フォルクスワーゲンが加わり、その数が一気に約2倍の200基以上となった。

この数は今後も増えることになるため、自宅に充電器がなくても近くにポルシェかアウディかフォルクスワーゲンのディーラーがあればいい。これは3ブランドのBEVオーナーにとっても、大きなメリットである。こうしたインポーター独自の充電インフラの整備は、そのブランドのBEVを選ぶ理由にもなるはずである。(文:Motor Magazine編集部 千葉知充/写真:井上雅行)

アウディ Q4 スポーツバック40 eトロン アドバンスド主要諸元

●全長×全幅×全高:4590×1865×1615mm
●ホイールベース:2765mm
●車両重量:2100kg
●モーター:交流同期電動機
●モーター最高出力:150kW(204ps)/4621-8000rpm
●モーター最大トルク:310Nm/0-4621rpm
●バッテリー総電力量:82kWh
●WLTCモード航続距離:576km
●駆動方式:RWD
●タイヤサイズ:前235/50R19、後255/50R19
●車両価格(税込):688万円

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