悔しいほどに良いクルマ。トヨタ新型プリウス Zを公道で試乗して見えた？愛されるための資質

2Lの新パワートレーンは元気がいいが、サブスク専用グレードも好印象

走り出すと、スマートなモーター走行が味わえる。モーターだけでの駆動（EV走行）領域がもっと多くてもいいと思う場面もあったが、概ね好印象だ。車室内も静粛性が保たれて、実に快適。だた、静かな分エンジンがかかるとその音が気になり出す。

刺激的なエンジンサウンド！というわけでもないので、ここはトヨタの技術力の見せ所ではないだろうか。新型で初めて採用された2L直4エンジンの元気がいい分、もっと高回転まで回しても気持ちいい音になればと感じたのである。

特筆すべきは、先進運転支援システムであるトヨタセーフティセンスである。多種多彩な機能が標準装備され、あらゆる場面で安全なクルマぶりを見せてくれる。多くの人に選ばれ、数多く売れるクルマの安全はこうでなくてはいけない、という見本のようなクルマである。

欲を言えば、安全にまつわるシステムや機能を標準装備してほしかった。たとえば、ドライブレコーダーのように、現在、多くのドライバーが装着するこの装置をオプションではなく標準装備とする英断はあっても良かったかもしれない。

グレード展開は基本的に3つ「Z」と「G」そして「U」を用意されるが、UはKINTO専用グレードとなる。こちらは1.8L直4エンジンとハイブリッドシステムを搭載・・・つまりパワートレーンは従来モデルからのキャリーオーバーだ。

とはいえ、これがなかなか優れもの。高回転まで回すとさすがに2L直4エンジンとの差を感じるが、低速域での走行を中心とする街中では満足できるレベルである。これが月額1万6610円（ボーナス併用払い16万5000円）の使用料だとは、選ぶ価値があるかもしれない。従来型プリウスからの乗り替えなら大満足だろう。

短時間の試乗でPHEVの使い方を探ってみた

さて、初対面＆初試乗となった新型プリウス。取材時間の関係で試乗した距離も少なく、見た目＋気づいた点＋チョイ乗りので評価となってしまったが、悔しいほどに良いクルマだった。また、注目モデルということもあり、これからも引き続き、機会があれば付き合ってみたいと思えるモデルであることは確かだ。

実は今回のイベントで、2023年3月頃発売予定のプラグインハイブリッドモデル（PHEV／プロトタイプ）で、クローズコースをわずか3周だが走ることもできた。

多くを試すことはできなかったが、気になるのはPHEVに用意された回生の強さを3段階で変えられる機能だ。ステアリングのパドルやボタンではなく、センターディスプレイを操作して車両設定の下の階層から選ぶことになるが、これがとても使いにくい。というか運転中は危なくて変えられない。つまり運転中は使うな、ということなのだろう。

それなら運転中は操作できないようにするべきだと思うが、そのあたりも含め取材時間が少なく（操作方法を探すことに時間を要してしまったこともあるが・・・）走行中はどうなのか、きちんと確認できなかったので、市販バージョンの試乗機会があれば改めて試してみたいところだ。（文：千葉知充／写真：井上雅行）

■トヨタ プリウス Z ＜＞内はプリウス G　主要諸元

●全長×全幅×全高：4600×1780×1430mm
●ホイールベース：2750mm
●車両重量：1420kg ＜1400kg＞
●エンジン：直4＋モーター
●総排気量：1986cc
●最高出力：112kW（152ps）／6000rpm
●最大トルク：188Nm／4400-5200rpm
●モーター最高出力：83kW（113ps）
●モーター最大トルク：206Nm
●トランスミッション：電気式無段変速機
●駆動方式：FF
●燃料・タンク容量：レギュラー・43L
●WLTCモード燃費：28.6km／L
●タイヤサイズ：195／50R19
●車両価格（税込）：370万円＜320万円＞

■トヨタ プリウス U（KINTO専用仕様車）　主要諸元

●全長×全幅×全高：4600×1780×1420mm
●ホイールベース：2750mm
●車両重量：1360kg
●エンジン：直4＋モーター
●総排気量：1797cc
●最高出力：72kW（98ps）／5200rpm
●最大トルク：142Nm／3600rpm
●モーター最高出力：70kW（95ps）
●モーター最大トルク：185Nm
●トランスミッション：電気式無段変速機
●駆動方式：FF
●燃料・タンク容量：レギュラー・43L
●WLTCモード燃費：32.6km／L
●タイヤサイズ：195／60R17
●車両価格（税込）：299万円

新型プリウス試乗18