1970年代の後半に大ブームが起き、今もなお人々を魅了してやまないスーパーカーたち。そんな懐かしいモデルから現代のハイパースポーツまでを紹介していく、スーパーカークロニクル。今回は、マセラティ ギブリだ。

マセラティ ギブリ(MASERATI GHIBLI:1966-1973)

画像: 公称データで、最高速度は265km/h、0→60mph(約96km/h)加速は6.8秒だった。

公称データで、最高速度は265km/h、0→60mph(約96km/h)加速は6.8秒だった。

マセラティが1966年に発表した2シーターのFRクーペがギブリだ。ギブリという車名は、北アフリカのリビアから地中海に向かって吹き込む熱風に由来するものだ。この頃のマセラティには、ボーラ(アルプス山脈からドリア海へ吹く冷たい風)やミストラル(フランス南東部に吹く風)といった、風に由来する車名のモデルがあるのが特徴だ。

スーパーカーの起源は、1966年に登場したランボルギーニ ミウラといわれているが、そのミウラと同じ年に登場したのがこのギブリであり、そして2年後の1968年には、フェラーリ 365GTB/4 デイトナが登場する。この3台は、1960年代後半のスーパーカーブーム黎明期の最高峰を競い合った。

当時としては斬新なデザインのデイトナに比べると、ギブリのスタイリングはオーソドックスなクーペスタイルだった。デザインは、当時カロッツェリア・ギアに在籍していたジョルジェット・ジウジアーロの手によるものだ。1960年代の高級スポーツカーの典型的なスタイルともいえるロングノーズ ショートテールのファストバック スタイルの、全高は1.2mを切る低さながら全幅は1.8mと、当時のモデルとしてはかなり幅広だった。

V12エンジンを搭載していたミウラやデイトナに対し、V8を搭載したギブリは、2シーターながらシート後方には広大なラゲッジスペースがあり、超高速クルージングが可能な実用的なグランツーリスモとしての性格も兼ね備えていた。

サスペンション形式はマセラティの伝統で、フロントはダブルウイッシュボーンでリアはリジッドだった。デビュー当初は330psだった4.7LのV8 DOHCエンジンは、1970年に発表された後期型では4.9Lにキャパシティアップされ、最高出力も335psと、5ps向上した。

また1969年には、オープンモデルのギブリ スパイダーを発表。そのスタイリッシュさは、スーパーカーの中でも秀でていた。ギブリは1973年の生産中止までに1200台以上が生産された、マセラティの人気モデルだった。

画像: オーソドックスなファストバックスタイルだが、ジウジアーロの傑作のひとつと誉れが高い。

オーソドックスなファストバックスタイルだが、ジウジアーロの傑作のひとつと誉れが高い。

マセラティ ギブリ 主要諸元

●全長×全幅×全高:4590×1800×1160mm
●ホイールベース:2550mm
●車両重量:1350kg
●エンジン種類:90度V8 DOHC
●総排気量:4719cc
●最高出力:330ps/5000rpm
●最大トルク:40.0kgm/4000rpm
●燃料・タンク容量:有鉛ハイオク・94L
●トランスミッション:5速MT
●駆動方式:FR
●タイヤサイズ:205/VR15

画像: amzn.to
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