毎年恒例、JAIA(日本自動車輸入組合)の合同試乗会。今回、鈴木ケンイチ レポーターはPHEV(プラグインハイブリッド車)に絞って、その違いを味わうべく乗り比べてみた、後編となる今回は、BMW グループの2台をレポートする。

MINI クーパーSE クロスオーバーは、ゴーカート フィーリングに電動走行をプラス

画像: 試乗車は2022年6月に発表された、特別仕様車のアンテイムド エディションだった。

試乗車は2022年6月に発表された、特別仕様車のアンテイムド エディションだった。

最後のPHEVは、おなじBMW グループのMINI。MINI クーパーSE クロスオーバー All4 アンテイムドエディションと、少し長い名前だが、CGによる内外装のデザインが施された特別仕様車だ。とはいえ、パワートレーンなどはベース車両のMINI クーパーSE クロスオーバー All4と変わらない。

PHEVのシステムは、前輪をエンジン、後輪をモーターが駆動するというのが特徴となる。先代のBMW 2シリーズにも採用されていた方式だ。シンプルにハイブリッド化が可能となる。今回のMINIでは、フロントに最高出力100kW(136ps)の1.5L 直3 ガソリンターボ エンジンを、リアに最高出力65kW(88ps)のモーターを搭載し、全体のシステムとして最高出力165kW(224ps)を実現している。バッテリーは10kWhでEV走行距離は53kmとなる。

こちらのシステムは、エンジンの稼働がはっきりとわかるのが特徴だ。3気筒ならではの独特のサウンドを感じさせる。ちなみに、クルマは電池とモーターの分だけ重くなっているが、MINIらしいゴーカート フィーリングは健在だ。EVらしく静かに走ることもできるけれど、MINIらしくエンジン音を感じながら元気に走るのも楽しい。

つまり、エンジン車のMINIの良さに、電動走行という魅力を追加したクルマといえるだろう。MINIも次期モデルはフルEVになるといわれているが、このPHEVはそれまでのワンステップを示すモデルでもあるようだ。

画像: PHEV化で車両重量は重くなっているが、MINIらしいゴーカート フィーリングは健在だった。

PHEV化で車両重量は重くなっているが、MINIらしいゴーカート フィーリングは健在だった。

MINI クーパーSE クロスオーバー All4 アンテイムド エディション 主要諸元

●全長×全幅×全高:4315×1820×1595mm
●ホイールベース:2670mm
●車両重量:1770kg
●エンジン:直3 DOHCターボ+モーター
●総排気量:1498cc
●最高出力:100kW(136ps)/4400rpm
●最大トルク:220Nm(22.4kgm)/1300-4400rpm
●モーター最高出力:65kW(88ps)/4000rpm
●モーター最大トルク:165Nm(16.8kgm)/3000rpm
●システム最高出力:165kW(224ps)
●システム最大トルク:385Nm(42.3kgm)
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・36L
●駆動用バッテリ−:10kWh
●EV走行換算距離(等価EVレンジ):53km
●WLTCモード燃費:14.8km/L
●タイヤサイズ:225/50R18
●車両価格(税込):549万円

インポートPHEVを4台イッキ乗りしてみて思うこと

プジョーにはじまり、ジープ、BMW、そしてMINIという4ブランドのPHEVをイッキに試乗してみた。スペック的には、どれも10~15kWhの電池を搭載し、50~70kmほどのEV走行距離を可能とする。しかしながら、そのシステムはそれぞれに異なっており、走行フィーリングも、またそれぞれの個性を感じさせるものだった。

モーターだけでなくエンジンも使うPHEVは、完全なEVよりも個性的になるのかもしれない。電動走行とロングドライブを両立するPHEVは、利便性という意味では、もっとも効果的な方式のひとつだろう。また、こうした個性豊かなモデルが存在することも、PHEVの魅力といえる。クルマの電動化が完成する一歩前の形態として、これからもPHEVに注目しておきたい。(文:鈴木ケンイチ/写真:Webモーターマガジン編集部)

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