2010年1月に日産の12代目スカイラインがマイナーチェンジを受けた。エクステリア、インテリアのデザインが変更されると同時に、2.5L FRモデルに7速ATが採用された。Motor Magazine編集部では、この7速ATを採用した250GT Type P 2WDの試乗テストを行っている。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2010年4月号より)

7速AT採用で燃費が向上した上にダイレクト感も増した

走り出しの印象はいたってスムーズ、かつダイレクト。トルコンスリップを極力減少させて燃費を向上させているというが、それによりダイレクト感も出ている。スムーズな変速は、7速化により各ギア比が接近したこと、シンクロコントロールなど緻密な制御を加えたことで実現しているようだ。

7速化による恩恵は高速域でとくに顕著だ。7速100km/hでエンジン回転数は1800rpmほど。これは燃費向上とともに、静粛性向上、ドライバーの疲労軽減にも効果を発揮しそうだ。車重は10kgほど増えているが、その重量増はボディ中央部にあるので、それほど走りに影響は及ぼしていない。走りにダイレクト感が生まれ、さらに効率も上がっているのだから、7速ATの効果はすこぶる大きい。

全長4780mm、車重1610kgというボディは軽量コンパクトと呼べるものではないが、動きに一体感があって大きさを感じさせないのもスカイラインの美点。前後重量配分は53対47、バランスがいい。225psというパワーもこのボディに十分で、7速ATの採用とも相まって、速度を上げるにつれて一体感はさらに増し、クルマを自在に操っているという感覚を味わうことができる。

でも、これがスカイラインの本来の姿なのかとも思う。塊り感のあるFRスポーツセダンとしてうまく仕上がっている。ただいいクルマだからこそ、もうひとつ、「所有する歓び」を感じさせる、なにかが欲しい。かつてスカイラインは欧州勢に立ち向かうスポーツセダンの代表として脚光を浴びた。そういった反骨心を感じさせるようなものがあれば、このクルマを持つ価値はもっと出てくる。欧州のプレミアムブランドはそういった演出がうまい。

しかし、スカイラインの市場はもはや日本だけではない。欧州や北米市場ではインフィニティG37として人気を集めていることがその性格を複雑にしているようにも感じる。スカイラインはどうあるべきなのだろうか。(文:Motor Magazine編集部 松本雅弘/写真:永元秀和)

日産スカイライン250GT Type P 2WD 主要諸元

●全長×全幅×全高:4780×1770×1450mm
●ホイールベース:2850mm
●車両重量:1610kg
●エンジン:V6DOHC
●排気量:2495cc
●最高出力:165kW(225ps)/6400rpm
●最大トルク:258Nm(26.3kgm)/4800rpm
●トランスミッション:7速AT
●駆動方式:FR
●車両価格:388万5000円(2010年当時)

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