8速の湿式DCTを新開発して採用
新プラットフォームの採用により、プラグインハイブリッドユニットの中枢に位置するトランスミッションにも革新的技術を採用する。強力な電動ユニットのニーズに対応するため、ランボルギーニではコンパクトなトランスミッションユニットを新開発した。すべてを社内開発、設計したトランスミッションユニットは、LB744の後もランボルギーニの次世代スーパースポーツカーに搭載予定だ。
ランボルギーニの研究開発部門では、V12エンジンの725Nmという大トルクに対応する、最も効率性が高くパフォーマンス重視の湿式DCTを開発した。新しい8速DCTは縦置きのV12エンジンの後方に横置きに配置される。トンネルに空いたスペースには、モーターに電力を供給するリチウムイオンバッテリーを格納する。このレイアウトによって、ホイールベースを拡大せずに、最高のドライビングダイナミクスを支える重量配分が効果的に実現できた。
ちなみに、ランボルギーニの60年の歴史の中で、トランスミッションをリアに横置きしたV12モデルは他に2モデルしかない。1966年に発売された「ミウラ」はミッドリア横置きのエンジンレイアウトを採用し、サーキット走行に焦点を絞ったハイパーカーの「エッセンツァ SCV12」では、縦置きエンジンに、荷重の負担ができる横置きのトランスミッションを配置した。
ゼロエミッションの完全EV走行も可能
8速DCTの開発は、素早いギアシフトなど、スポーティな走りに必要なすべてを提供したいという願いがきっかけだが、8速目を加えることでクルーズ走行時の燃費とドライバビリティの最適化も図ることができる。特に「連続ダウンシフト」機能では、左のパドルを押し続けるだけでブレーキ時に複数ギアのシフトダウンができ、ドライバーは完全なコントロール感を得ることができる。
このDCTは、ウラカン シリーズで使用している7速DCTと比較しても軽く、シフト速度も速くなっている。横置きレイアウトによって、キャビンスペースも広がり、ドライバー席と助手席の後ろの空間が広くなり、快適性も向上した。DCTは長さ560×幅750×高さ580mmで、非常にコンパクトな造りだ。総重量は、最高出力110kWと最大トルク150Nmを発生するリアのモーターも合わせて193kgに抑えられている。
トランスミッション上方に搭載したこのモーターは、スターターと発電機として機能するほか、トランスミッショントンネル内のバッテリーを通してフロントのモーターに電力を供給する。完全EVモード時には、後輪に駆動力を供給し、前輪を駆動するモーターとともにゼロエミッションの4WDとなる。
リバースギアは、フロントの2基のモーターで駆動する。ただし、さらなる推進力が必要な場合にはリアの電気モーターも加わり、リアアクスルと後輪を駆動させることもできる。つまり、LB744は低グリップ状態での後進ゼロエミッションモードでも、4輪すべてを駆動することができるのだ。
現段階では、パワートレーンの詳細のみが発表されたが、近日中にはそのスタイリングやスペック、そして車名も発表されることだろう。ランボルギーニのネーミング流儀に沿って、「闘牛」に関連した名前になるのだろうか。まずは、その発表を楽しみに待ちたい。