参加費約145万円の超エクスクルーシブな催し物
ランボルギーニで雪上走行?ウルスなら考えられるがウラカンではちょっと想像するのが難しい。しかしランボルギーニは、10年ほど前から雪上ドライビングイベントを開催している。
場所はスイス国境に近い北イタリアのリヴィーニョ。アルプス山中の保養地として有名なこの町の標高は1800m、もちろんウインタースポーツも盛んだ。
この町の郊外で行われるランボルギーニ雪上ドライブイベントはハイエンドスポーツカーブランドに相応しいエクスクルーシブな内容で、まず参加費用は何と1万ユーロ(約145万円)、しかも現地集合、すなわちここまでの旅費は含まれていない。また2泊3日の宿泊先は5つ星のラックサリンスパ&リゾートである。
参加者は国際的で、今回はEU圏だけでなく香港からもやって来た。参加資格は、オーナーはもちろん、ディーラーや本社推薦のポテンシャルカスタマー、スーパーカーで雪上ドライブを体験したいというエンスージアストである。
使用車両は、ウラカン テクニカとウラカンSTO(ともに最高出力671ps、最大トルク565NmのRWD)、そして4WDのウラカンEVOだが、そこに今回からウルス ペルフォマンテ(666ps、850Nm)が加わった。
使用するコースは雄大で、約2kmのドリフトサーキットに加えてドーナツと呼ばれる円周路と8の字のダブルサークルが用意されている。参加者は2人1組で、インストラクター付き、それぞれ分間隔で交代してドライブする。
ドリフト時の制御方法を習得すればRWDも楽しい
まずはRWDのウラカンからスタートするが、コーナーできれいなドリフトを決めるのはとても難しい。コーナーのアペックスに向かってターンイン、慎重なスロットルワークが必要となるが、どうしても外へ膨らんでしまいタイムをロスする。
インストラクターは「ミューの低い路面ではスロットルオン、そしてブレーキはともにフロントタイヤがまっすぐ前方に向かっているときに行うこと。あなたは急ぎすぎます!」と厳しいが納得できるアドバイスである。そして嬉しいことに初日の午前中にはスピードコントロールとカウンターステアのタイミングを習得、きれいなドリフトでコーナーを回ることができるようになった。
続いて4WDのウラカンEVOで走る。やや多めにペダルを踏んでもスピンモードに入らず、安定したコーナーリングが可能で、さらに加速してもカンターを当てれば姿勢は安定する。
最後にウルス ペルフォマンテでのセッションに挑戦するが、2.6トンの重量からは想像できない身軽さで雪上をダンスする。ただしスローインファーストアウトの鉄則は守らねばならない。また驚きの登坂能力、トラクションは脱帽ものであった。
一方、パワフルなランボルギーニで氷上を運転する時には、速度こそ遅いがブレーキやハンドル操作のタイミングに加え、繊細なペダルワークが重要だと改めてわかった。しかも高速度に達していなくても、サーキットを運転するのと同じくらい楽しいことに気づいたのである。
さらに4WDとRWDの挙動の違いもはっきりと認識することができた。雪上や氷上では、当然、安定したトラクションを持つ4WDがコーナーからの脱出では有利だが、一度RWDに慣れ、ドリフト時にどのように制御するかを習得すれば意外なほど素早くコーナーを脱出することも可能だ。
ただし忘れてはならないのは、ブレーキの重要性である。4WDだからと言って2WDよりも制動力が優れているわけではなくオーバースピードは命取りなのだ。いずれにせよ、どちらの駆動方式にも長所と短所がある。これを直接体験するのは有意義だった。
この2日間で印象的だったのは、どんなシチュエーションでもドライバーが正しい操作さえすれば、それに忠実に反応してくれるランボルギーニモデルの頼もしさであった。(文:アレキサンダー・オースタン<キムラオフィス>/写真:ランボルギーニS.p.A)