2023年2月、スバルは栃木県にあるスバル研究実験センターで第3回スバルテックツアー 走行安全編を開催。「スバルの乗用車による死亡事故を2030年までにゼロにする」という目標への道筋の一端を公開した。

クロストレックとXV、新旧モデルの比較でわかった快適性の向上

「気持ち良く走る」と「走行安全」は直接関連しているように思えなかったが、スバル研究実験センターの敷地内にあるテストコースで新型クロストレックと、従来モデルにあたるXVを比較試乗してみると、ふたつの関係性と差を体感することができた。

画像: SUBARU研究実験センターの中にある商品評価路を走行する新型クロストレック 。

SUBARU研究実験センターの中にある商品評価路を走行する新型クロストレック 。

道幅の狭いコースには大きなうねりや段差、高低差やコーナーの連続など、ドライバーを不安にさせるレイアウトとなっており、初見の私はどれほどの速度で走行していいのか判別しにくい。そんな状況で、新旧モデルを比較しながら走るとクロストレックの安心感が圧倒的に高いのだ。

うねりの後でサスペンションの伸縮運動がキレイに収まっている感覚もあるが、それよりもホールド性の高い新開発シートによってドライバーの腰から頭にかけてのブレが少なく、その先のコーナーへのアプローチに早い段階で移行できる気持ちの良さがある。改良点が多いため、なにがどう作用して不安なく走れるのか判別できないが、安心感はストレスや疲れを低減し、より安全な走行もできるようになるというもの。

画像: 道幅が狭く、タイヤを浮かすほどの大きな突起もある商品評価路を30〜70km/hの比較的速い速度域で走行。

道幅が狭く、タイヤを浮かすほどの大きな突起もある商品評価路を30〜70km/hの比較的速い速度域で走行。

そしてもうひとつ、ここで乗り心地が良いと感じる要因はもうひとつあるのではないかと思っている。新型クロストレックでは、ハンドル軸とアシストモーターを切り離した2ピニオン式電動パワーステアリングを採用し、リニアでスポーティなハンドルレスポンスを実現しているのだ。

ハンドリングと乗り心地との関連性は小さいように思うかもしれないが、初代レヴォーグがD型に改良されたときも同じような経験をしており、開発者からも同様の見解があったことを思い出した。リニアなハンドリングの獲得は、気持ち良く、快適に走るための走るための大きな要素になっているのではないだろうか。

今回スバルの走行安全について知り、他車や歩行者などがないクローズドコースでの試乗だったが、公道に出たときどう感じるのか気になるところだ。

スバルにテストドライバーはいない?

新型車開発にあたっては性能評価を運転スキルの高いテストドライバーとともに進めることが他の自動車メーカーでは一般的だが、テストドライバーとエンジニアとの間の情報伝達が難しいという側面もあるという。

そんな中、スバルでは旧来から「ドライバーの評価能力以上のクルマは作れない」という考え方が存在し、開発者(エンジニア)自らがテストコースで商品評価を行う伝統がある。体感したことを商品に落とし込むことでより良い、そして開発者の意思を強く反映した新型車を開発されてきたのだ。

こうした伝統の下で自然と人も育っていたが、時代とともに状況は変化。開発スキルの若い世代への継承や向上を目指した社員育成プログラム「スバルドライビングアカデミー(SDA)」を2015年9月に創設したのだ。テストコースライセンスを走行速度や評価領域によって5段階に分けることでエンジニアのステップアップにもなり、開発工程の短縮にもつながっているという。

画像: テックツアーのプログラムのひとつ、WRXでの外周路走行のドライバーを務めてくれたのはSDAの5段階の中でもトップに当たる「特殊」ライセンスを持つ開発者たちだった。

テックツアーのプログラムのひとつ、WRXでの外周路走行のドライバーを務めてくれたのはSDAの5段階の中でもトップに当たる「特殊」ライセンスを持つ開発者たちだった。

スバルがラインナップするモデルたちは過去から現代においても個性的なキャラクターを持っていると言われ、また熱烈なファンを呼ぶ要素にもなっている。エンジニア主体の開発プロセスだからこそ生まれた個性なのかもしれない。

ただ、その個性も近年では多様化し、水平対向エンジンや4WD技術を駆使したスポーツ性はもとより、アイサイトに代表される安全性、前述したクロストレックのような安心できる運転のしやすさ、そして今後の電動化社会においてもソルテラをはじめとする新たな個性を持ったモデルも登場。次なる個性はなにか、期待も膨らむというものだ。

This article is a sponsored article by
''.