フル電動化だけでなく、さらなる「特別感」を追求
2023年3月12日に開催された年次総会において、ポルシェはグループ全体での2022年度実績が、売上高と販売台数で過去最高を記録したことを明らかにした。まさに絶好調の業績を背景にカンファレンスでは、長期的な営業利益率をさらに20%引き上げることを目指す「Road to 20 プログラム」をスタートさせることも明らかになった。
ルッツ・メシュケ 財務兼IT担当取締役会副会長は業績好調の要因を「価格戦略の改善、強力な製品ラインナップ、セールスパワーの強化に加え、為替レートの影響と同時に厳格なコスト管理にあります」と語る。
2023年からの取組の中核とされているのは、「ひときわ特別なポルシェ」を生み出す「Sonderwunsch programme」(いわゆるワンオフ・プログラム)と、フル電動化モデルのラインナップ拡充だ。
「モダンラグジュアリー」を戦略コンセプトに掲げるオリバー・ブルーメ取締役会長は「新しいスポーツカーのコンセプトに基づく製品ポートフォリオを充実させるとともに、リミテッドエディションの対象を拡大させる」と語った。
そんな中、より具体的な進路が提示されたのは、きわめて野心的な電動化戦略の推進だ。2025年までに新車の50%、2030年には80%超をEVまたはPHV化する一大目標に向けて、スロットルを一気に踏み込んできた。
たとえばすでにその存在が明らかにされている全電動マカンは、発売に向けて着実に開発が進んでいる。デジタル領域での各種シミュレーションはすでに終え、リアル領域での実走テスト、熟成が進む。顧客への提供は2024年の予定だ。
その開発に当たっては、電動化に向けた空気力学的最適化や、ディスプレイとオペレーティングシステムを含むインターフェイスの革新も進められているという。