2022年11月に米国ロサンゼルスオートショーで世界初公開、2023年4月20日に日本仕様車の価格が発表されたスバル新型インプレッサ。その国内向けプロトタイプ試乗会が、クローズドコースで開催された。絶対性能ではなく、日常域でも実感できる「進化」ぶりを、確認することができた。(文:佐藤久実)

身のこなしは軽やか。シームレスな伸びやかさと静粛性も魅力だ

画像: 2ピニオンパワーステアリングの採用によって、応答遅れが少ないスポーティで上質なステアリングフィールを実現。(ST-H AWD/ボディカラーはサンブレイズ・パール)

2ピニオンパワーステアリングの採用によって、応答遅れが少ないスポーティで上質なステアリングフィールを実現。(ST-H AWD/ボディカラーはサンブレイズ・パール)

1コーナーを立ち上がり、80km/hまで加速、ここでもアクセルの踏み込みに遅れることなく伸びやかな加速が見られる。そして、80km/hで進入して60km/hで立ち上がるダブルレーンしチェンジを行う。

旧型は2つめの切り返しでちょっとつんのめるような、フロントがひっかかるような動きを見せるが、新型は切り返しでもステア操作に遅れることなく軽やかな身のこなしを見せる。そして、しっかり感はありながらストローク感豊かで懐の深さも感じられる。

新型は、ボディ全体の骨格部材を組み立ててから外板パネルを付ける「フルインナーボディ構造」としたことで捩れ剛性があがり、さらにサスペンションの取り付け部の剛性が向上。それにより、サスペンションがしっかり動くようになったのでスプリングレートを下げられ、結果乗り心地も向上している。また、ヨー→横G→ロールという一連の動きも一体感のあるものになっている。

画像: 大胆に張り出したフェンダーワークが、大地を駆けだすような力強さを感じさせる。(ST-H AWD/ボディカラーはサンブレイズ・パール)

大胆に張り出したフェンダーワークが、大地を駆けだすような力強さを感じさせる。(ST-H AWD/ボディカラーはサンブレイズ・パール)

インフィールドではちょっと速度域を上げてみたが、ここでは旧型との対比で「静粛性」が際立つ。もちろん、速度の上昇に伴い風切り音も増してはいくが、耳障りな音が消されている印象。構造用接着剤の塗布範囲が旧型から大幅に拡大しているのに加え、制振剤の最適化も図られ、ロードノイズが低減している。空力に配慮したサイドミラーやボディ形状は、直進安定性や快適性に留まらず、静粛性にも寄与している。

そして、個人的にもっとも効いているのではないかと思ったのが、ルーフの振動を抑える高減衰マスチック(弾性接着剤)の採用。医学的アプローチから音と乗り心地のメカニズムを解明したというのが興味深い。

新型インプレッサは、音や振動、乗り心地からハンドリングまで、クルマ全体としての調和が取れた気持ちよさが感じられる。FFモデルは軽快さとレスポンスの良さが印象的で、普段使いには十分。でも、日常だけでなく、休みの日には足を伸ばしてアクティブに動く、という方にはやはりスバル自慢の4WDがオススメだ。(写真:伊藤嘉啓/SUBARU)

画像: 先代に比べて、圧倒的にスピード感に富むエクステリアデザイン。鋭いシェイプが、強さを際立たせる。フルインナーフレーム構造を採用することで、ボディ構造も向上した。

先代に比べて、圧倒的にスピード感に富むエクステリアデザイン。鋭いシェイプが、強さを際立たせる。フルインナーフレーム構造を採用することで、ボディ構造も向上した。

スバル インプレッサ ST-H AWD 主要諸元

●全長×全幅×全高:4475×1780×1515mm
●ホイールベース:2670mm
●車両重量:1580kg
●エンジン:水平対向4気筒 DOHC+モーター(e-BOXER)
●総排気量:1995cc
●最高出力:107kW(145ps)/6000rpm
●最大トルク:188Nm/4000rpm
●トランスミッション:CVT(リニアトロニック)
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:レギュラー・48L
●WLTCモード燃費:16.0km/L
●駆動方式:4WD
●ステアリング:ラック&ピニオン式
●サスペンション形式(前/後):ストラット式独立懸架/ダブルウイッシュボーン式独立懸架
●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(前後)
●タイヤサイズ:215/50R17

スバル 新型インプレッサ ラインナップ&プライス 

ST(2L DOHC 直噴):229万9000円(FF)/251万9000円(4WD)
ST-G(2L DOHC直噴+モーター):278万3000円(FF)/300万3000円(4WD)
ST-H(2L DOHC直噴+モーター):299万2000円(FF)/321万2000円(4WD)

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