クルマは長く乗れば乗るほど見えてくるものがある。これまでいくつものエンジン搭載モデルを長期にわたってレポートしてきたが、今回連載している長期レポートのクルマは電気自動車(BEV)である「DS3クロスバック Eテンス(DS3 CROSSBACK E-TENSE)」だ。(第6回/Motor Magazine 2022年7月号より)

女性からの視線がとにかく熱い

前回予告したとおり今月(2022年5月)は長距離移動、横浜から大阪まで約500kmを1日で走り切ることになった。航続可能距離500kmを優に超えることも多いエンジン搭載車であれば、燃料を満タンにして無給油で到達できる距離なので大きな困難はない。しかし、電気自動車DS3 Eテンスの航続距離は、高速道路をエコモード走行しても実質270kmほど。1回の急速充電で70〜100km分を回復しつつの旅となった。

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無謀な計画だ! この話を最初に聞いた時、そう進言した。しかし困難な任務をスマートに遂行しなくてはならないのがサラリーマンの性というもの。かくして私は茨の道・・・ではなく、DS3 Eテンスで大阪へ向かって往復1000kmの出張に赴いた。

画像: 1000kmの旅を終えた後、定期点検に入ったDS3クロスバック Eテンス。

1000kmの旅を終えた後、定期点検に入ったDS3クロスバック Eテンス。

今回の旅のミッションはJR大阪駅前で行われる電動車展示イベント「EV&SDGsフェア」にこのクルマを展示することで、ふたりの同乗者とともに、2泊分の荷物とカメラ機材などをラゲッジルームにフル積載しての走行となる。さらに言えば、車内快適性を重視してエアコンを常時稼働させるという、BEVの航続可能距離を縮める酷な条件が揃った。

そう、今までBEVを約1万km走らせてきた経験を活かすチャンスである! 充電スポット検索アプリ「EVスマート」と経路探索の「ナビタイム」を駆使して、とても綿密なスケジュールを組み上げた。これで電欠に陥ることなく安全に、かつ最速で現地へ到着するはず。うん、完璧だ!

ところがそんな計画は脆くも崩れ去る。最初の運転手を担当してくれたNカメラマンの計らいで、予定より約80kmも手前のSAで朝食&充電をすることになったからだ。計画どおりに行かないから旅は面白い。この先は成り行きである。往路の高速道路で急速充電30分×5回をこなし、出発から約10時間かけて会場に到着したのだ。

画像: 「だからなんだ」という話だが、ゾロ目や区切りの良い数字を記録できるのは担当者としてなんとなく嬉しい。

「だからなんだ」という話だが、ゾロ目や区切りの良い数字を記録できるのは担当者としてなんとなく嬉しい。

画像: 旅は道連れ世は情け。兄弟BEV、プジョー e-2008も同行。長篠設楽原PAで充電器を共有する一幕も。

旅は道連れ世は情け。兄弟BEV、プジョー e-2008も同行。長篠設楽原PAで充電器を共有する一幕も。

目的だったイベントでの評判はというと、女性からの視線がとにかく熱い。まわりのBEVが大きくゴツいのに対し、DS3 Eテンスはコンパクトで丸みを帯びたスタイル、また明るい内装も眼を惹いたようだ。「かわいい〜」という言葉を何度も聞き、そのたびに「そうなんですよ〜」と親バカ(?)ぶりを発揮したものだ。

復路も往路と同様の道順を辿ったが、この行程で意外な事実が判明した。以前「DS3 Eテンスが対応する急速充電器は出力50kW以下で、大黒PAの90kWで充電できなかった」と報告したが、新東名・遠州森町PAの90kWでは普通に、いや、50kWよりも高い出力を計測していたのだ。どうやら急速充電器の種類によって相性があるようだ。あてにはできないが、対応してたら嬉しい存在として覚えておこう。

第6回/2022年4月21日〜5月23日(6カ月目)のデータ
・オドメーター:1万1219km
・当月の走行距離:2911km
・充電量:約528.0kWh(充電メーター換算値)
・電費:約5.51km/kWh
・充電回数:30回(内、200V普通充電を9回/急速充電を21回)

DS3 クロスバック Eテンス 主要諸元

●全長×全幅×全高:4120×1790×1550mm
●ホイールベース:2560mm
●車両重量:1580kg
●モーター:交流同期電動機 ZK01型
●最高出力:100kW(136ps)/5500rpm
●最大トルク:260Nm/300-3674rpm
●バッテリー総電力量:50kWh
●JC08モード航続距離:398km
●0→100km/h加速:8.7秒
●最高速度:150km/h
●駆動方式:FWD
●タイヤサイズ:215/55R18
●車両価格:559万3000円(2023年4月現在)

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