メルセデスベンツは、既存のモデルシリーズを2030年までにBEVに置き換えるべく19年のEQCからEQS SUVまで8車種を市場に送り込んできた。そしてGクラスも例外でないことを21年のミュンヘン国際オートショー(IAA)のコンセプトカーで公表した。(Motor Magazine2023年6月号より)

EQS SUV並みの100kWhの大容量バッテリーを搭載か

画像: 4輪それぞれをバラバラに大きく上下させながら、岩がゴロゴロ並ぶラフロードをゆっくり着実に走破していく。

4輪それぞれをバラバラに大きく上下させながら、岩がゴロゴロ並ぶラフロードをゆっくり着実に走破していく。

Gクラス、通称「ゲレンデヴァーゲン」は1979年のデビュー以来、箱型の基本スタイルを変えずに今日まで50万台を販売した生きた化石のような存在で、どのような形で電化されるのかが注目されていた。そして今回、2024年なかばからの発売を前に、最終段階の開発が行われているグラーツにあるメルセデス・ベンツGを訪ねて、その様子を助手席から観察するチャンスを得た。

ハンドルを握るのは社長のDr.エメリッヒ・シラー氏である。彼の説明ではEQG(仮称)はICE搭載のGクラスに負けない究極のオフロードパフォーマンスを目指すがゆえに、これまでメルセデス・ベンツが開発してきたスケートボードタイプのEV専用プラットフォームは使わない(使えない)。代わりにバッテリーは4cmの分厚いカーボンファイバー製ケースで保護され、従来のGラダーフレームの間にマウントされる。

バッテリー容量は、後述するようにある程度の航続距離を維持するために、EQS SUV並みとなる100kWh以上の大容量になると予想されている。

パワートレーンは各ホイールにそれぞれ電気モーターが用意されているが、それはインホイールタイプではなくアクスルにフランジされ、個別に制御可能になっている。2速ギアが組み込まれた電気モーターは歩くような速度でも加熱することなく高回転を維持し、効率の良い回生を行う。すなわち低速でオフロード走行に挑んでも航続距離が悪化しにくいのだ。

すべてで互角かそれ以上。従来型のGクラスを凌駕

画像: 「Gターン」のデモンストレーション。右側の前後タイヤと左側の前後タイヤを、それぞれ同時に逆方向へ回す。

「Gターン」のデモンストレーション。右側の前後タイヤと左側の前後タイヤを、それぞれ同時に逆方向へ回す。

まるで走る空気抵抗のようなGクラスは、航続距離の延長を空力特性や軽量化に頼ることはできないので、回生特性の研究開発はとくに難しかったようだ。想像するに前述の大容量バッテリーによって最低でも航続距離450kmは確保されるに違いない。

予想されるシステム出力はおよそ1000ps、最大トルクは1000Nmに限りなく近づくだろう。空車重量3トン近いはずながらドライバーが右足を踏み込むと、準備が十分でなかった助手席では突き飛ばされたような加速Gを感じる。

正確なダイナミック性能はまだリリースされていないが0→100km/h加速はおそらくV8エンジン並みの4.5秒、ただし最高速度は航続距離を考えて200km/h程度になると予想される。

オフロードコースへ向いながらシラー社長は「EQGはICE搭載Gクラスで可能なことはすべてカバーすることができます。いや、それ以上かも知れません」と自信を覗かせていた。

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